迅速に処分できないのには理由がありそうだ(八角理事長。時事通信フォト)

迅速に処分できないのには理由がありそうだ(八角理事長。時事通信フォト)

「『時津風』の株は、謹慎中に師匠代行を務め、力士たちに人望もある枝川親方(元前頭・蒼樹山)が継ぐものみられていたが、先々代にあたる元大関・豊山の意向もあって、やはり東京農大出身の間垣親方(元前頭・土佐豊)になるとみられている。前回の継承と同様、学閥が優先されると、部屋の中でも軋轢が生まれないか心配されている。

 また、解雇処分になるかどうかによって、命運が大きく左右されそうなのが、時津風部屋の部屋付き親方である井筒親方(元関脇・豊ノ島)でしょう。現在の『井筒』は借株で、横綱・鶴竜が引退後に襲名する予定となっている。横綱は引退後、5年間は現役四股名で協会に残れるが、いずれ株を返さないといけない。再雇用制度の導入によって空き株が少ないこともあり、元豊ノ島がどうやって株を調達するのか、注目が集まっていた。

 時津風親方が解雇処分になって年寄株が1席空くことになれば、元豊ノ島に調達の目途が立つ可能性がある。元豊ノ島は力士たちから人望が厚いので、彼が協会に残れるようにするために、時津風親方の言動に不満がある部屋関係者が不祥事をリークしたのではないかともいわれている。部屋内ではお互いに疑心暗鬼となっているといいます」(前出の若手親方)

 それはつまり、時津風親方への処分を巡って、様々な“利害関係者”が存在するということだ。協会が迅速、かつ厳格な処分に動けない背後には、様々な思惑がありそうだ。

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