綾野氏が続ける。
「自分がスピーカー役になったときは、場を回せとまでは言いませんが、『自分が、自分が』ではなく、リスナー側のことを考えて話をしてもらいたいです。Clubhouseでの会話は、鍵付きルーム(特定の人間だけ参加できるトークルームのこと)の設定にしない限り、個人的な通話ではなく、オープンな場で行われているものです。スピーカーは、ある程度リスナーが楽しめるように意識しながらトークしていることを、理解してない方が多い印象です」
大勢が参加する場にもかかわらず、自分ひとりが延々と話し続けてしまったり、それまでの流れを無視した発言をしてしまったり、一部の人にしか通じない話を始めてしまうというのは、Clubhouseに限らず、現実でも時々遭遇する困った存在だ。では、ルームクラッシャーが現れたとき、モデレーターや他のスピーカーはどのように対応すべきなのだろうか?
「一言ツッコミを入れて、会話を終わらせる。一部のスピーカー同士で個人的な話題が続きそうなら、そのトークルームを離れて別のルームを作ることを提案する。もしくはスピーカーからリスナーに降ろしても良いですし、いったんトークルームを閉じても良いでしょう。もしもルームクラッシャー本人が後でグチグチ言ったとしても、『そもそもClubhouseに向いていない人なんだろう』くらいに受け止めて、あまり気にしなくて問題ない気がします」(綾野氏)
Clubhouseのトークルームには、仲間内の雑談でしかないものから、あるテーマについて議論する場、専門家が情報発信するセミナー的な場まで、さまざまなカラーのものが存在している。ただの雑談の場であれば、多少自由に話したところで問題ないかもしれないが、そうでない場合は、気を付けないとルームクラッシャーになりかねない。口を開く前に、いったん場の空気を読む……というのは、普段のコミュニケーションでも求められる姿勢だろう。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)