飼い主の責任とは?(イメージ)
「大きな団地が近くにある(ホームセンター内の)店でしたが、コロナで売り上げはよかったですね。家族連れとかカップルが動物園気分で来てました。店に立つ私が言うのも変ですが、みんなコロナ気にしないのかなって」
買ったペットを返しにくる人は、マシなほう
篠山さんが勤務した期間は短く1年もない。動物と関係ない専門学校を卒業後にバイトを転々として、たどり着いたのがペットショップ。辞めた理由は、先の返品トラブルも含め、命の売買とそれに伴う命の軽視だ。
「そのペットショップチェーンはすごいブラックだったんです。この店で売ってる子はオークションでも格安の子ばかりだって先輩は言ってました。社員さんは「出来が悪い」「病気持ち」とか平気で言う人でした。でもお客には調子のいいことばかり言ってました。格安の子を仕入れて、何十万って値段で売るんです。生体価格の倍近くします」
ここでいうオークションというのは、日本各地で週に一回程度行われているペットの競り市のことである。日本のペットショップで売られている犬や猫の多くは、そういった競り市でバイヤーに競り落とされてからペットショップへと引き渡される。
昨年「ペットショップの『コロナ特需』と売れ残った動物たちの末路」および「チワワが諸費込みで60万円 コロナで高騰するペット生体販売の闇」でも取り上げたが、コロナ禍で絶好調なのがペットビジネスだ。矢野経済研究所による「ペット関連総市場 市場規模推移と予測」によれば2019年度が1兆5700億円、2020年度は1兆5978億円、2021年度の予測では1兆6257億円と毎年250億円以上の増加が見込まれている。コロナ禍に疲弊する日本経済だが「巣ごもり」需要でペット産業は不況知らず、「犬でも飼うか」「猫でも飼うか」という人が増えている。
初めてペットを飼うという家庭が増えているため、ペット保険も大手のアニコム損害保険、アイペット損害保険ともに2020年上半期の新規契約件数が過去最高を記録している。まさにコロナ特需に降って湧いたペットバブルだ。景気循環には結構な話だが、扱う商品は「命」。法律上「物」として売られる子、ペットたちだが人道上は「命」である。
「普通の人が思う以上にヤバい人って多いんです。団地で禁止されてるのにティーカップ(プードル)を50万円で買って、バレたからって返しに来るんです」
ペットショップで購入した場合はクーリングオフの適用外である(それでも民事なので店次第)。店や土地柄によるのかもしれないが、常識では考えられないような客、飼い主になってはいけないような連中はいる。それがコロナ禍のペットバブルで初めて飼う人が増え、悪目立ちしている状況だ。もちろん、そんな連中でも犬や猫は金を出せば手に入る。