遺伝子組換え生ワクチンの作用機序

遺伝子組換え生ワクチンの作用機序

 また小原特任研究員は2003年に流行したSARSウイルスに対するワクチンも開発し、マウスに接種したところ、1週間で中和抗体と細胞性免疫の産生を確認。新型コロナはSARSウイルスに極めて類似しているので、効果が見込めるとして、昨年新型コロナウイルス生ワクチンの開発に着手したのだ。

 マウスを遺伝子組換え生ワクチン接種群と接種しない群に分け、攻撃感染実験を実施。その成果は接種していない群では急激な体重変化を伴い死亡したが、ワクチン接種群は体重減少もなく、100%生存という結果を得られた。

「滋賀医科大学の協力のもと、カニクイザルに遺伝子組換え生ワクチンを3週間に2回接種して発症予防効果を確認しました。ワクチン接種後、新型コロナに感染させましたが、ワクチン接種群は肺で増えたウイルス量が5万分の1以下となり、肺炎の症状はほとんどなく、免疫細胞も十分に誘導されていました。なにより危険な重い副作用が見られません」(小原特任研究員)

 現在、今年中のヒトへの治験実施に向けて準備が進んでいる。ただ生ワクチンは製造と承認までに長い時間と多額の費用が必要だ。日本発の効果が見込めるワクチン開発には国の厚い支援が欠かせない。

取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号

小原道法 東京都医学総合研究所特任研究員

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