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2021.02.28 07:00  女性セブン

『みんなのうた』60年貫いたオンエア曲の基準「無名でも良い作品」

みんなのうたは60周年

『みんなのうた』は60周年

 何十年も聴いていない曲だったとしても、ふとそのメロディーを聴くと、あの頃の記憶がまざまざとよみがえってくることがある。お母さんがキッチンで口ずさんでいた曲、お父さんと寝る前に一緒に歌った曲、友達が教えてくれた曲──記憶の彼方に眠っているその曲は、『みんなのうた』(NHK)のものかもしれない。

 1953年にテレビの本放送が始まってから8年後、『みんなのうた』が産声をあげた。同番組を研究する、鹿児島女子短期大学児童教育学科専任講師の佐藤慶治さんが語る。

「戦後、GHQの規制で戦意高揚や団結目的の歌が禁止され、学校教育の場で歌える歌が少なくなっていた。特に小学校の高学年から中学生が歌える歌が全然ないということで、1961年にNHKが始めたのが『みんなのうた』です。

 放送開始後、ポピュラーソングも取り入れた歌や映像の新鮮さが子供や学校の先生に受けて大流行。開始数年で学校現場に浸透したようです。歌と映像が一緒になっていることも、当時としては大変画期的でした」

 実際にオンエアされる楽曲はどう決まるのだろうか。

「『みんなのうた』は放送局が作る歌そのものが番組です。これは世界でもめずらしいスタイルです」

 こう語るのは、『「みんなのうた」が生まれるとき』(SB新書)を著書に持ち、1998年から延べ12年にわたって番組プロデューサーを務めた川崎龍彦さんだ。

「NHKが作詞家・作曲家に委嘱して曲を作り、歌手や映像作家を決めて制作するのが基本的なスタンスです。まったくの白紙から担当者が企画を立てるケースと、外部の作家やプロダクション、レコード会社などから企画の骨子が持ち込まれ、番組として実現したいものだと判断したら、一緒に作るケースがあります。

 たとえるなら、楽曲作りは、真っ白なキャンバスに何度も何度も納得するまで色を重ねていく作業です。作り手にとって、決して楽な道ではありません」(川崎さん)

 注目すべきは、芸能プロダクションなどの意向を反映した「バーター」や「タイアップ」が見られないことだ。

「持ち込まれた企画はブラッシュアップして実現するケースが多いですが、大事にしていたのは既成の価値観にとらわれないことです。どれだけ有名な作家でも番組のコンセプトに合わなければ断り、逆に無名の作家でも、いい作品だと思えたらなるべく採用しました」(川崎さん)

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