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中国の裁判所が家事の対価を初めて認定 「5年間で約80万円」

家事に対する労働報酬を認める判決は異例のことだという

家事に対する労働報酬を認める判決は異例のことだという

 中国北京市房山区の離婚裁判所は2月下旬、妻から申し立てられた離婚調停裁判で、離婚を認めたうえで夫だった男性に対して、「妻が5年間、無償で働いた家事についての補償金として一括で5万元(約80万円)と、息子の養育費として毎月2000元(約3万3000円)支払わなければならない」との判決を下したことが分かった。中国で家事に対する労働報酬を認める判決が下されたのは初めてで、この判決に関するSNSのハッシュタグは数億回以上も参照されるほどの大きな関心を呼んでいる。

「妻の権利を認める画期的な判決だ」との称賛の声が出ている一方、「5年間の家事労働の補償がたったの5万元とは少なすぎる」と相反する意見も出てくるなど、妻の家事労働に関して一石を投じた形だ。英BBC放送などが報じた。

 報道によると、名字が「陳」と分かっている男性と「王」姓の女性は2015年に結婚したが、昨年、女性が離婚訴訟を起こした。王さんは「5年間の結婚生活で、夫は家事や息子の世話などをしてこなかった」などとして、家事などの労働について、金銭的な補償を要求した。裁判長は王さんの主張を認め、陳さんに対して、家事の補償金として5万元の一時金などを支払うよう命じる判決を下した。

 これについて、裁判長は「結婚後に形成した夫婦の共同財産は2人で分割すべきだ。収入などは有形財産だが、家事による労働は無形の財産価値を構成している」と説明。この判決は今年施行された中国の新しい民法に従っており、「配偶者は、子育て、高齢の親戚の世話、パートナーの仕事の支援において、より多くの責任を負う場合、離婚時に補償を求める権利がある」としている。

 しかし、判決について、ネット上では「専業主婦の仕事は過小評価されている。北京では乳母を1年間雇うには5万元以上かかります」との不満の声もが紹介されている。このほかにも、「男性はもっと家事を引き受けるべきだ」とのコメントや「女性は結婚後もキャリアを追求し続けていくべきだ。仕事をあきらめないで、キャリアを積んでいける社会を作るべきだ」との声も寄せられている。

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