ビジネス

美容・ファッション業界に残る「顔採用」 いつ改められるのか

美人かどうかで価格変動しているとSNSに書き込んだ美容師とその美容院が炎上した(イメージ)

美人かどうかで価格変動しているとSNSに書き込んだ美容師とその美容院が炎上した(イメージ)

 ネットで自虐をこめて発される常套句「ただしイケメンに限る」「かわいいから許す」「美人だから成り立つ話」は、人を容姿の美醜によって判断するルッキズムへの、少し歪んだ批判を含んでいるはずだった。ところが、これを本気で信じている人たち、なかでも仕事上の常識でノウハウだと信じている人たちが今も少なくない業界がある。ライターの森鷹久氏が、美容やファッション業界で働く女性たちが当惑しつつも続く「顔採用」についてレポートする。

 * * *
 美人なのか、そうではないかで、その人物を評価する「ルッキズム」は、現在では人物評価をするうえで判断基準にすべきではないことだとされている。しかし、美容ライターの水野陽子さん(仮名・30代)は、まだまだルッキズムは根強くはびこっていると象徴するような出来事が、つい最近、起こったのだと沈んだ面持ちで訴える。

「男性美容師が自身のSNSで、女性客の顔のレベルでサービス内容や料金を変える、というような書き込みをして、大炎上したのです。お店は原宿の一等地にあり、評判も悪くなかったのですが、この件で、本人だけでなくお店の代表まで攻撃される事態に追い込まれました」(水野さん)

 美容師は自身のSNS上で、施術の予約をするのなら顔写真を送って欲しいと前置きした上で「Sランクの美人なら全て無料、Aランクの女性なら~」と、容姿によって、サービス内容や料金が変わると説明していた。彼がどのような意図でやったのか、もしかすると冗談のつもりだったのかもしれないが、まったく笑えないどころか、不愉快極まりない。

 そして、この書き込みを見たユーザーが、そのあまりの「おかしさ」をSNS上で指摘し、店の代表者が謝罪に追い込まれる事態となったのである。しかし……と水野さんが続ける。

「彼の書き込みは確かに糾弾されるべきです。ただ、美容業界では、そういった考え方が当たり前になっている部分はある。例えば、若くて綺麗な女性のお客さんが来店されたとき、店長に、あのお客さんは窓際ね、と全体のオペレーションの進行を無視して言われ、困惑したという女性美容師の話を聞きます。こんな美人も来ている美容室なんだと外から見えるようにすることが宣伝になるから、窓際に座らせろと勝手に判断して店長は言っているわけです。逆に若くなくて美人ではない人、またはお店の雰囲気にそぐわない人が来ても、美容室としては断る術はないですから、外から目につかない奥(の席に)に案内したりすることもあるといいます」(水野さん)

関連記事

トピックス

司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
原英莉花(時事通信フォト)
女子ゴルフ・原英莉花「米ツアー最終予選落ち」で来季は“マイナー”挑戦も 成否の鍵は「師匠・ジャンボ尾崎の宿題」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン