さらに工藤院長はこんな傾向に警鐘を鳴らす。
「受診控えで血圧の薬を切らしてしまい、そのまま服用を止めている患者が多い印象があります。日本神経学会では心房細動のある患者が抗凝固剤の服用を中止した結果、脳梗塞を発症したケースを報告していますが、これは当院でもありました。
心房細動は脳梗塞発症の高いリスク因子ですが、こうした重篤化しやすい患者ですらコロナを怖れて通院を止めてしまい、ほったらかしになってしまっている現状があります」
緊急搬送されたとしても病院で治療を受けられるとは限らない現実もある。
1月5日、日本脳卒中学会は脳卒中患者へのコロナ禍の影響についてまとめた。それによると、「コロナ陰性でないと脳卒中検査ができない」「脳卒中患者用ベッドをコロナ患者用に転用した」などの理由で、昨年12月14日時点で、全国の13施設が患者の受け入れを停止し、118施設が救急搬送の一部を受けないなどの診療制限が行なわれていたという。
緊急時の対応が困難な状況だからこそ、自ら体調の異変に注意を払う必要がある。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号