芸能

映画監督・井口昇氏「演者がマスクしていない作品は時代劇と同じ」

井口昇監督はコロナ後の表現をどう考える?(写真/EPA=時事)

井口昇監督(中央)はコロナ後の表現をどう考える?(写真/EPA=時事)

 漫画『相談役 島耕作』の作中で、島耕作が新型コロナウイルスに感染し、話題になった。フィクションにどこまで現実を反映させるかは作り手にとっては大きな問題。コロナ禍での映画作りでは、リアルな世界を描くべきか、はたまた創作は自由であるべきか。コロナ禍の新たな表現様式について『惡の華』などを手掛けた映画監督・井口昇氏が語った。

 * * *
 作品の性質によりますが、コロナ禍を反映せざるを得ない場合が増えていく気がしています。やっぱり映画や映像作品は、その時代を生きる人たちに寄り添い、刺さるテーマを持つべきだと思うからです。

 今後は街ゆく人がマスクをしていない作品は、一種の“時代劇”になってしまうのではないでしょうか。

 最近は『青きヴァンパイアの悩み』(TOKYO MX)という作品を監督しています。2人の未熟なヴァンパイアがコロナ禍の東京で生活するという異色の物語ですが、やはり難しいのはマスクの扱いです。

 主演の俳優さん目当ての視聴者にとっては顔が見えなければ魅力が半減してしまいますし、さすがに全シーンでマスクをしていると作品として成立しない。リアリズムとの匙加減を探りながら演出しました。

 もうひとつ問題があって、演者がマスクをしてしまうと演技の良し悪しが判断しづらくなってしまうんです。なので感染対策をしっかりとした上でテストの時はマスクを外して演技をしてもらっています。

 たしかに撮影は大変なこともありますが、作品にコロナを反映することで想像力が狭まるとは思いません。むしろこれまでなかった発想が生まれているし、この状況に作り手がどう立ち向かっていくか腕の見せどころだと思っています。

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

これぞ令和の現代劇『青きヴァンパイアの悩み』(月曜夜10時~)(C)TOKYO MX

これぞ令和の現代劇『青きヴァンパイアの悩み』(月曜夜10時~)(C)TOKYO MX

関連記事

トピックス

米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
女性初の自民党総裁に就いた高市早苗氏(時事通信フォト)
《高市早苗氏、自民党総裁選での逆転劇》麻生氏の心変わりの理由は“党員票”と舛添要一氏が指摘「党員の意見を最優先することがもっとも無難で納得できる理由になる」 
女性セブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン