なぜ日大系だけが軒並み増加しているのか
ここまで難関大学の付属校の多くが2021年度入試においてはこれまでと一転、受験者数を減らしたことを述べてきました。これらと実に対照的だったのが、日本大学系です。
東京には日本大学系の付属校が6校あります(中学のある学校)。正付属が日大豊山、日大豊山女子、特別付属が日大一、日大二、日大三、準付属が目黒日大です。このほか首都圏には日本大学、日大藤沢、千葉日大一もあります。
今年はなんとこの6校すべてが増加という現象が起きたのです。それも目黒日大が140%、日大豊山が137%、日大一が135%、日大豊山女子が125%、日大二が113%、日大三が111%と、すべてが110%超えというすごい勢いでした。
なぜこれほど人気だったのでしょう。何といっても難関大学の付属校に比べて入りやすく、合格の可能性が高いことが大きいでしょう。6校の中で四谷大塚の偏差値で最も高いのが日大二と日大豊山ですが、ともに【45】です。
また、日本大学が総合大学であること。わが子が将来どのような進路を取りたくなっても必ずそれが可能となる学部・学科があるという安心感は大きいでしょう。
そして、先の学校群と比べると学費が安いこともあります。生活文化局から公表されているデータによると、初年度納付金が最も高いのが日大二の98万円ですから難関大学の付属校がすべて100万円を超えていたのに対し、大台を超える学校は1校もありません。進学校に進ませて、学校への納付金に加えて塾・予備校費用が掛かることを考えれば、“何とか出せる”と判断したご家庭が多かったと思われます。
もう一つは口コミです。最近の受験ママはSNSを駆使しての情報交換が盛んです。「地元の公立高校の4番手、5番手からは現役で日大に受かる人数はごく限られている」といったことを話題にしています。ここ数年中堅私大が急激に難化していることも十分承知しているのです。
以上のようなことから軒並み受験者が増えたのです。それにしても6校すべて増というのは驚きの現象です。