付属校の最大のネックは「高い学費」
まず、今年の受験生はコロナの感染リスクを避けるために受験校数を絞りました。そうなると受かる可能性が低いところから止めます。進学校でも難関校の多くが敬遠されましたが、それと同じようなことが付属校でも起こりました。
次に、ここ数年の付属校志向の過程で難関大学の付属校は偏差値が上がり、合格に手の届く受験生が減ったことが挙げられます。また、この偏差値なら付属ではなく進学校にして進路の選択幅を広げておいたほうがいいと考えるケースが増えました。
例えば、早大学院、慶應普通部は海城や武蔵と同偏差値。それなら海城、武蔵に進んで東大の可能性を残しておきたいと考えた受験生も多かったようです。
そのほか、近年偏差値が大きく上昇した例を挙げてみましょう。四谷大塚の5年前との比較です(第1回入試について)。
・香蘭女学校/2016年【51】→2021年【58】
・明大中野八王子/2016年【48】→2021年【52】
香蘭女学校は2019年に午後入試を実施したことで、広く知られるようになって受験者が急増しました。また2020年から立教大学への推薦枠が80名から97名へと拡大したことで大変な人気校となりましたが、今年はその反動で減少。明大中野八王子は年々明治大学への進学者が増加し、2020年には91.5%もが進学。明大進学者の増加にともなって偏差値も上昇しました。
そのほかの理由としては、付属校は学費が高いので、今後のコロナ不況を考えると10年間高い学費を払い続ける自信がないという家庭が増えたことが考えられます。
例えば、東京都の生活文化局から公表されているデータによると、東京の私立中学の初年度納付金の平均額は97万176円ですが、早大学院は141万4000円、ついで慶應中等部が140万円。このほかでもこれまでに校名が上がった学校はことごとく100万円を超えています。こうした高額な学費面も敬遠された要因の1つかと思われます。