国内

フェムテックで可視化される「生理格差」 生理用品が買えない女性も

(写真/GettyImages)

フェムテックで可視化される「生理格差」(写真/GettyImages)

 程度は違えど、女性を憂鬱な気分にさせる月経。近年では、女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」(※)の研究が進み、女性たちが密かに悩み、苦しんでいたことに光が当てられ、猛スピードで解決に向かってコマが進んでいく。

【※「female」(フィメール/女性)と「technology」(テクノロジー/技術)を掛け合わせた造語で、「女性の健康課題をテクノロジーで解決するサービスや製品」】

 しかし、その新しさと速さゆえの落とし穴にも注意したい。「医療との線引きをしっかりしてほしい」と話すのは、産婦人科医の宋美玄さんだ。

「新興分野であるフェムテックは、製品やサービスの中には効果がみられないものや、疑わしいものもある。特に、医療でないと解決できないものを、フェムテックで解決しようとするのは考えものです。

 たとえば『更年期のホットフラッシュを緩和する』として、ひんやりしたものを当てるようなグッズもありますが、むしろ体を冷やすべきではない場合もある。ひどい生理痛や更年期障害は婦人科を受診すべき病気であり、医療が担うべき分野。“フェムテックに頼れば婦人科に行かなくてすむ”ということは絶対にあり得ません」

 不調の裏側に、がんや婦人病など大きな病気の兆候が隠れていることもある。一方で、フェムテック製品の中には、そうした病気の見落としを防ぐことも見越して作られているものもある。フェムテック製品のオンラインサイトを運営し、日本市場をリードしている「フェルマータ」でCOOを務める近藤佳奈さんはいう。

「吸水ショーツの中には、技術を持ちながらあえて吸水量を抑えているものもあります。女性の1回の月経周期内での正常な出血量は20mlから140ml。つまり1日で100ml出てしまえば、体に異常がある可能性があるということ。吸水量を多くしすぎると、それに気がつくことができないので、病院に行くきっかけを奪わないようにと工夫されています」

 また、現状ではフェムテック製品を手に取りづらい人もいる。東京・国分寺市の矢島助産院で助産師として勤務する傍ら、ラジオ番組『アイノカタチ.chu』のパーソナリティーを務める清水幹子さんは、この問題を「生理格差」として指摘する。

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン