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バレー東洋の魔女 半世紀前に「フェムテック」が機能した革新的な姿

(写真/GettyImages)

タンポンもなかった時代にフェムテックが機能していた”チーム”も(イメージ写真/GettyImages)

《プライバシーの侵害になる》、《セクハラにつながるのではないか》。これは2019年11月、老舗百貨店の大丸梅田店(大阪市北区)が女性従業員に着用を呼びかけた「生理バッジ」に寄せられたバッシングの声だ。自らの生理をバッジで意思表示し、働きやすい環境づくりにつなげる目的があったが、批判が相次いだため、1週間ほどで、同社はバッジの着用の取りやめを決めている。

 生理のつらさを救うと期待されているのが、フェムテックだ。female(フィメール/女性)とtechnology(テクノロジー/技術)を掛け合わせた造語で、女性の健康課題をテクノロジーで解決するサービスや製品を指す。東京・国分寺市の矢島助産院で助産師として勤務する傍ら、ラジオ番組『アイノカタチ.chu』のパーソナリティーを務める清水幹子さんはこう言う。

「フェムテックの登場によって、生理はがまんするものではなくて解決できるものだという社会的な意識の変革が起きるのはいいことである半面、『誰もが体のことをオープンに語った方がいい』『フェムテックを駆使して男性並みに働けなければダメだ』という風潮が蔓延することを恐れています。

 たとえフェムテックが浸透しても生理のつらさは変わらないし、生理を隠したい女性や気を使われることがストレスになる女性だっている。私自身が月経カップを使って思ったのは、慣れも必要だしシリコンを体に入れるのに抵抗がある人もいるということ。何よりこうしたストレスや感じ方の個人差は数値化できません」(清水さん)

 生理に伴う不快感に、新しいアイテムを取り入れて仕事に邁進するのか、「生理だから休暇がほしい」と言って休むのか、更年期だと明言することで周囲の理解を得てストレスが軽減するのか、周囲に気を使われるのがかえってストレスになるのか……これらの問いへの答えは、体質や性格、人生において何を優先しているかによって一人ひとり違ってくる。

 フェムテックによって月経が当たり前のこととして受け入れられる社会になりつつある過渡期であり、選択肢が増えたからこそ、新たな悩みや葛藤も生まれる。しかしそれを半世紀も前に、鮮やかに乗り越えた女性がいた。

「生理中の練習はトイレの回数が増えたし、使っていたのはナプキンだけだったけれど、休んだことは一度もありません。でもそれは誰に強制されたわけでも、無理をしていたわけでもなく、自分がそうしたかったからです」

 こう振り返るのは1964年の東京五輪で金メダルを獲得し、世界中から「東洋の魔女」と謳われた日本女子バレーボールチームの一員だった田村洋子さんだ。

“鬼の大松”と呼ばれた監督の大松博文さんが生理中も練習を休ませなかったなど、過酷な練習方法を憶測するようなニュース記事もあった。

 しかし現場の雰囲気は真逆だったという。

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