効率的な練習を目指しているという(撮影・藤岡雅樹)
秀岳館の半分の練習時間で、同じメニューをこなす
──センバツで注目する学校はありますか。
「はい、市立和歌山とやりたいですね。私がビデオを観た中で、一番良いピッチャーが(同校のマックス152キロのエース右腕)小園健太君でした。生きたボールを投げる印象です」
──小園投手ですか(※インタビュー時、初戦の相手は決まっていなかったが、2月23日の抽選会で対戦相手は鍛治舎監督が望んでいた市立和歌山に決まった)。しかし、組み合わせも決まっていない段階で、出場校の映像をチェックしているんですね。
「一度も見ていない学校は、2校だけです」
──え!? いったいどこから29校もの映像を取り寄せるんですか。
「内緒(笑)。野球で大事なのは、心・技・体・情報です」
──夏は2012年、春は2015年を最後に出場から遠ざかっている母校の監督に就任したのが2018年3月。まず行ったのが「時間改革」でした。私立と違って練習時間の短い公立校であるために、部員を数班に分け、グラウンドを広く使って、同時間帯に様々なメニューを行っている。効率よく全選手が連動して練習しているのが伝わってきます。練習の合間にはコーチ陣も道具や打撃ゲージの移動などを手伝っていましたね。
「グラウンドで歩いて良いのは監督だけ(笑)。コーチに対しても『走れ!』って叫んでいますよ。秀岳館は一日に8時間練習できました。でも、県岐商にはそんな時間は許されません。およそ半分です。その時間内に、秀岳館と同様のメニューをこなすことを考えた結果です」
──秀岳館時代から選手に受けさせているZETT社のベースボール・スポーツテスト(身体能力測定・評価システム)の目的と、その効果を教えてください。
「スポーツテストには25種目あって、選手の筋力とスピードと柔軟性がはっきりとわかる。(県岐商の監督に)就任した当時は、秀岳館の選手と比べて大きく差がありましたが、3年が経過して、(テストを受けている学校のなかで)全国2位まで来ました。レギュラーだけでなく、控え選手にとっても、明確な数値ではっきりと目標がわかる。うちでは、スイングスピードを日々計っていて、3年前は130キロを超える選手がひとりもいなかった。今では140キロ以上ないと、打撃練習やノックには入れません。投手もスピードガンで球速を計っていて、140キロを超える投手が5人います」