なぜ、伝統のユニフォームを変えたのか?
──鍛治舎監督の断行した改革の中でも、はっきりと第三者にも分かるのはユニフォームのデザイン変更でした。中学硬式野球のオール枚方ボーイズや秀岳館でも採用した、黄色と青を配色したユニフォームも、ずいぶんと板についてきました。しかしOBからの反発もあった。
「OBの声を気にしていたら、改革なんかできません。そもそも黄色と青はスクールカラーなんだから、むしろ県岐商にはふさわしいんですよ」
──そういえば、坊主ではない選手もいますね。髪型の自由化はいつからですか。
「就任した時から、髪型については自由です。ただし、短すぎる坊主はダメ。『バカが余計にバカに見えるぞ』と言っています(笑)。鬱陶しいのもダメ。賢そうに見える髪型ならOK。歴史のある学校なので、どうしても坊主じゃなきゃいけないみたいな空気があった」
──一昨年は秋季東海大会で準優勝し、昨年の同大会も準優勝。昨年は中止となってしまいましたが、2年連続センバツ出場で、古豪復活は近いのではないですか。
「いえいえ、2年連続東海大会準優勝といっても、隣県の中京大中京(愛知)は2年連続東海王者となっていますから。ただ、センバツに連続出場していくことで、県内の中学生が県岐商を選んでくれる。現状はまだまだ岐阜の有望選手が大阪桐蔭に流れていますから。大阪桐蔭の西谷(浩一)監督に電話を入れて、『あの子とあの子だけは岐阜から持って行くな!』と伝えていたんですが、そのふたりだけを獲っていきましたよ。許せませんね(笑)」
──今年の県立岐阜商業には高木翔斗主将という大型捕手がいます。
「昨年の夏に、大阪桐蔭と練習試合をして、エース左腕の松浦(慶斗)から逆方向に2本、2試合目も代打で出して、別所(孝亮)という最速147キロの投手からホームランを打ちました。守りについては教え子の九鬼隆平(秀岳館、現・福岡ソフトバンク)の方が上ですが、大柄なわりにフットワークがいい捕手です。高木には、センバツで『ホームラン4本ならプロ、3本以下なら大学』と伝えています」