部員は鍛冶舎監督の指導のもとで成長している

部員たちは鍛治舎監督の厳しい指導のもと、成長している(撮影・藤岡雅樹)

私立に負けないための「初球打率」

──私立のように全国から選手を集めることはできません。県岐商には特待生制度もありません。野球部に在籍する2年半で選手を一人前の選手に育てあげ、甲子園に導こうとしています。投打(攻守)の指導において、大事にしていることは何ですか。

「野手なら、『初球打率』というのを意識させています。シート打撃でも、フリー打撃でも、あるいは試合でも、初球をしっかりとミートして、ヒット性の当たりを打てるか。どんなタイプの投手であっても、対応しなければならないわけですから、投手のリズムにあわせて、投手のリリースを見極めて、タイミングを計る。リズム、リリース、タイミングのRRTが大事なんです。追い込まれたら当然、ヒットを打つ確率は減ります。だから追い込まれる前に、いかに投手を攻略するかを徹底して考えさせていますね」

──スイングスピードを計測していることはその指導とどうリンクしてくるのでしょうか。

「150キロのボールを打ち返そうと思えば、基本的な考え方として150キロのスイングスピードがなければ、タイミングが間に合いません。力を込めてバット振るよりも、意外と力を抜いてスイングした方が、スピードが速かったりする。『脱力の力』と私は呼んでいます」

──投手に対して大事にしていることは。

「いかに3球で1ボール、2ストライクに追い込むか、ということですね。初球にストライクが取れたなら、2、3球目はファウルを打たせようとか、そういう心の余裕も生まれる。圧倒的に投手有利の状況を作れるわけです」

──今回のセンバツから、投手に対して1週間に500球以内という球数制限が課されます。県岐商の投手陣には、週に600球の投げ込みを課しているとか。

「150球投げる日を、週に4日設けています」

──1日に150球ですか。

「全球を全力で放るわけではありません。直球のMAXを求めていくのが50球、直球を四隅に集めていくコントロール重視のボールが50球、そして変化球が50球で、合計150球です」

──エースひとりに頼らず、複数投手の継投で戦う鍛治舎監督ですから、意外な投げ込み指令ですね。

「継投というのは、3回から5回しか投げられない投手を繋ぐのではなく、完投能力があって、連投も可能な投手をいかにつないでいくか。プロ野球のオールスターのような戦い方が理想なんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン