ナプキンやタンポンのほかに、洗い流して繰り返し使えるエヴァカップも誕生した

膣内に挿入し、経血をためて繰り返し使える生理用品「エヴァカップ」も誕生(写真/インテグロ提供)

「言ってはいけないこと」として内々に処理されてきた結果、いつまでたってもその実情が理解されず、非常時に問題が起きることもある。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、女性1人につき1個しかナプキンが配られなかった被災者がいたことが、大きな波紋を広げたことがあった。恐らく、生理について詳しく知らない男性職員が、平等に1個ずつ配ればこと足りると思ったのだろう。悪意こそないのだろうが、その無理解さは、月経日を犯罪捜査に使い、それを1つの根拠として女性を逮捕しようとしたこともあるという1970年代の刑事とあまり変わらないのかもしれない。

 ロート製薬では、こうした男女の情報差をなくす意図もあり、女性の体についてまとめた冊子を男女双方に配布している。同社広報の小川未紗さんが言う。

「読んだ男性社員からは『なぜ女性がイライラするのか、なぜつらいのかが、読むまではわかっていなかった』という声が上がっています。女性社員からも『男性上司であっても、月経がつらいから休みたい』と口に出しやすくなったなどという意見もある。社内を見回しても月経の話はタブーではなく『2日目でつらいです』といった会話をオープンに話せる雰囲気があると思います」

 同社社員や西村夫妻のように「不調は自分だけのもの」と思い詰める女性が減れば、パートナーである男性にとっても、いい影響を与えるのではないか。

 フェムテック製品のオンラインサイトを運営し、日本市場をリードしている「フェルマータ」でCOOを務める近藤佳奈さんはこう言う。

「自分をいたわる大切さは男女共通のこと。たとえば『メンズスキンケア』という言葉がありますが、わざわざ『メンズ』とつけなくても、本当は男女ともに肌を大切にできたらいいですよね。これと同様に、『フェムテック』という言葉が当たり前になりすぎて、使われなくなる日が来ることこそが、理想かもしれません」(近藤さん)

 フェムテックを味方につけながら、フェムテックという言葉が地球上からなくなる日を目指したい。

※女性セブン2021年4月1日号

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