近年は、女芸人は不利だという声も聞きますけど、私はそんなこと、一度も考えたことがなかったな。自分で不利を勝手につくっちゃってるんじゃないかしら。あ、でも一度だけありましたね。男の子たちが下ネタに走って、パンツを脱ぎ始めたことがあったんです。そこで勢い、私もパンツを脱いだ。そうしたら、どっちらけで。あのとき、もう二度とパンツは脱ぐまいと誓いました。
今も昔もネタを考えてるときがいちばん楽しい。最近は、新宿末広亭だとか浅草演芸ホールの寄席に出させてもらってるんです。普通は、出られないんですよ。やっともらえたチャンスなので、ここにはしがみついていきたい。もう60歳になったので、ずうずうしいの。何でも平気になっちゃった。
芸のジャンルで言うと、漫談モノマネかな。定番のバスガイドのモノマネをやったり、あとはコウメ太夫の真似をしたり。私が出て行ったら盛り上がりますよ。テレビじゃないんで、何をやってもいいんですから。
衣装は全部、自前なんです。昔からいっぱいモノマネをやっていたので、衣装部屋はもう大変なことになっていて。樹海みたい。捨てようと思っても、なかなか捨てられなくて。眼鏡だけでも何百個もあるんじゃないかな。たぶん、いつか出られなくなりますよ。
最近は「クニチャンネル」というYouTubeチャンネルもやってるんです。なので高校生ぐらいの子に話しかけられることも増えてきて。「パ〇ズリって言葉をつくったの、山田邦子なんですよね。すげぇ~!」って。そこかよ、って。でも、私もまだ捨てたもんじゃないでしょう?
【プロフィール】
山田邦子(やまだ・くにこ)/1960年、東京都生まれ。『笑ってる場合ですよ!』『オレたちひょうきん族』など数々の人気番組に出演。1988年から8年連続でNHK「好きなタレント」調査で1位に輝くなど人気を博した。3月1日に新刊『生き抜く力』(祥伝社新書)を上梓。
取材・文/中村計 撮影/黒石あみ
※週刊ポスト2021年4月2日号