大量に捨てられている新型コロナワクチン(時事通信フォト)
「当初、余ったワクチンを集めて1人分にするという話を他院の医師から聞きましたが、衛生上の問題があり、その計画はなくなったそうです。コロナワクチンは瓶を解凍して、希釈すると6時間以内に使わなければならないんです。
たしかに瓶にはあと1回分が取れそうなほど薬液が残ります。なので、もう1回分取った方がいいのではと考えてしまいますが、現場では打つ回数に神経を使うより、安全に接種することを考えています。政府が、初めから6回打ちの注射器を準備していれば、こんな問題も起きなかったんですが……」
そんな中、京都の宇治徳洲会病院が3月8日、インスリン用注射器があれば7回接種できると発表した。しかし、河野太郎規制改革相は「糖尿病患者のための注射器である」と否定的だ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが解説する。
「基本的にワクチンは1割程度多めに作られており、規定の人数以上にワクチンを打つことは可能です。国は推奨していませんが、現場の判断で接種することに問題はない」
別の理由でワクチンを大量廃棄した事実も明らかになった。2月26日深夜、ワクチンを保管する冷凍庫の故障により1000回分以上のワクチンが無駄になるハプニングが、先行接種を実施している医療機関で起きたのだ。
「コンセントに複数の機器を接続し、冷凍庫に充分な電力が供給されなかったのが原因でした。そんな初歩的なミスが起きるなんて、と思いますが、すべて初めてのこと。現場はそれほどバタバタしています」(別の都内大学病院に勤務する医師)
医療の最前線で働く医療従事者たちが、休まる日は来るのだろうか。
※女性セブン2021年4月8日号
