自転車競技では激しく転倒する可能性も(写真/AFP=時事)
変異株が地方に拡散する恐れ
交通網の復旧が進めば、地方から来ていた観客はやっとの思いで地元に戻ることになる。
「東京をはじめとした首都圏は最も感染者の多い地域です。特に最近は『変異株』と呼ばれる従来型より感染力が強いコロナウイルスが世界的に広がりを見せています。
厚生労働省の集計(3月16日時点)では変異株の感染者はまだ26都道府県でしか確認されていませんが、五輪観戦のために東京に来た人が感染し、地元に帰って蔓延させるリスクは否定できません」(勝田氏)
これらは専門家が「実際に起こり得る」と指摘する事態である。五輪組織委はどんな備えをしているのか。
「台風や地震といった自然災害リスクをはじめとして、不測の事態が発生した際の行動基準をコンティンジェンシープラン(緊急時の行動計画)で定め、観客の皆さんや関係者の安全を第一にして、落ち着いて組織対応ができるように準備を進めています」(戦略広報課)
ただし、その行動計画は「非公表」(同前)とのこと。選手、観客ともに備えと覚悟をしておく必要がある。
※週刊ポスト2021年4月9日号