マッチングアプリに登録し、オンラインのパーティーにも積極的に参加した(写真はイメージ)
結婚したら仕事を辞めたい、と言われて
「彼女は保守的で、家庭的な幸せを望む子だったんです。マイホームを建てて、子供を3人産んで、自分は専業主婦で、って。自分の両親とも仲がよくて、地元が好きだった」
一方、夏樹さんは働きだすと、野心が芽生えた。就職したのは不動産関係の中小企業だったが、取引先の大手企業の人に声をかけられ、転職を考え始める。転職すれば年収はアップするものの、東京勤務になる。地元が好きな妻は反対した。
「当時はそんな言葉はなかったですが、いまでいう、嫁ブロックですよね。彼女に、あなたは大企業には向いていないとか、東京に行ったら生活が苦しくなると言われ続けてギスギスするようになり、最終的に、転職するなら離婚! と切り出されたんです。もともと俺たちの関係って彼女が上だった。さすがにプライドが傷ついて、ああ、そうかと。別れるなら早いほうがいいだろうと、28歳のときに離婚しました」
彼女との思い出を振り切るかのように上京し、転職。東京での新しい生活が始まった。だが、夏樹さんは、自分が思っていた以上に離婚を引きずったという。
「仕事は充実していたんです。働き方改革、なんて言葉もない時代だったから、徹夜も多かったけど、そのぶん認められもして、今は年収1000万以上あります。プライベートではフットサルのチームにも入ったし、スキーやゴルフ仲間もできた。ただ、彼女のことをなかなか忘れられなかった……と思います」
別れた妻がお見合いをして再婚し、出産した、という噂を風の便りで聞いたのは30代も半ばになるころだった。自分も前に進もうと、離婚後、初めて付き合った。飲み会で知り合った、見た目が好みの同世代の女性だったというが、再婚には至らなかった。
「彼女がすごく結婚願望が強くて……、まあ、それはいいんですが、結婚したら仕事を辞めたい、僕を支えたいっていうんですよね。前の奥さんのこともあったので、俺は、もう少し自立した女性がよかった。自分が料理も家事も一人でできるほうなので、お互い、それぞれ好きなことをやりながらパートナーになれたらなと。俺は、スポーツでたとえると、マネージャータイプの女性より、一緒にプレーを楽しめる女の子が好きなんですよ。でも、どうも、マネージャータイプに縁があるんですよね」