ライフ

橘玲から新入生・新社会人へ「若者の価値が上がる時代がやってくる」

緊急事態宣言下、都の職員に外出の理由を尋ねられる若者たち(時事通信フォト)

緊急事態宣言下、都の職員に外出の理由を尋ねられる若者たち(時事通信フォト)

 新年度を迎えて1か月。コロナによって生活そのものが様変わりして、大きな不安を抱いている新入生・新社会人は多いはずだ。しかし『言ってはいけない 残酷すぎる真実』や『上級国民/下級国民』の著者で作家の橘玲氏は「若い世代はコロナで有利になるから、今のうちに将来の格差社会に備えるべき」と指摘する。この先にやって来るのはどんな社会であり、そこで輝くために若者は今、何をすべきなのか──。橘氏が提言する。(取材・構成/池田道大)

 * * *
 コロナとともに始まった新生活に不安を抱いている若者は多いでしょうが、実はコロナは若い世代の価値を大きく引き上げます。

 アメリカでは黒人やヒスパニックを中心に死者が続出し、平均年齢が2歳下がるほど大きな被害が出ましたが、日本では総死亡者が昨年より1万人ほど減りました。高齢化で死者は年2万人ほど自然増するのですから、これはきわめて大きな「健康効果」です。その一方で、コロナで出生率が大幅に下がっていますから、今後はますます高齢者が増えて若者が減る逆三角形の社会構造になります。すると需要と供給の法則で、たくさんあるものの価値が下がり、稀少なものの価値が高くなって、若者が大きな価値を持つ時代がやってきます。

 くわえて、これまで日本では中高年が自分の知らないことをやりたがらず、デジタル化が進みませんでしたが、コロナでそんな悠長なことは言っていられなくなり、デジタルトランスフォーメーション(DX)は待ったなしです。人々のライフスタイルや価値観が大きく変わる中、デジタルに対応できない年長者は脱落し、専門性を持った若者がますます有利になるでしょう。

 もちろん民主制は数で決まるため、退職世代が年金や健康保険の原資を現役世代から搾取する構造は続きます。これは日本の若者にとってネガティブな面ですが、その一方で、自分たちの価値がどんどん上がっていくというポジティブに面もあります。短期的にはコロナで学校や会社に行けず、社会にもまれて成長する機会が失われるかもしれませんが、ワクチンの普及とともにコロナがおさまって徐々に日常が戻ってくれば、稀少な若者を奪い合う時代がやってきます。だとしたら、1〜2年の遅れをそれほど気にする必要はありません。

関連記事

トピックス

次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン