大規模接種センターの会場となる大手町合同庁舎3号館(時事通信フォト)
さらに官邸は「接種する医療スタッフ」の確保に躍起だ。自治体の接種スタッフさえ不足しているのが現状なので、全国民接種となれば、まったく人手が足りない。国が動いているのは、冒頭の自衛隊の医療チームの確保だけではない。
「現役の医師や看護師に呼びかけるだけでは足りません。いまは病院の勤務からは離れている元医師や元看護師にも、“現場復帰”を呼びかけるでしょう。また、歯科医師にもワクチン接種を認め、人員増を狙っています」(前出・官邸関係者)
さらには、多くの社員を抱える大企業には、特別な接種ルートも検討しているという。
「大企業には必ず産業医がいます。企業ごとにワクチンを配布することで、社員やその家族は会社の会議室やホールなどの施設内に集まってもらい、産業医に打たせるということも考えているようです」(前出・厚労省関係者)
菅官邸が国民総動員で、“ワクチン敗戦”の汚名を返上したいのには、もう1つ、重要な理由がある。
「東京五輪の開催です。海外から見れば、接種が大幅に遅れている日本に選手団を送るのは不安で仕方がない。日本人も“五輪よりワクチンを”というムードです。7月末までに希望者全員に打つ、という菅総理のシナリオには、どうしても五輪を開催したいという思惑もあるのです」(前出・官邸関係者)
そうであれば、なぜもっと早くワクチンに本気になれなかったのか。やはり後手後手感は否めない。
※女性セブン2021年5月20・27日号