ビジネス

広がる中古スマホ市場 14年前に創業した業界大手社長の「先見の明」

「携帯市場」の粟津浜一社長

「携帯市場」の粟津浜一社長

 スマートフォンのはじめとする携帯電話端末の新品出荷台数が伸び悩んでいる。ICT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業であるMM総研が今年2月10日に発表した「2020年国内携帯電話端末の出荷台数調査」によれば、2020年におけるスマートフォンの出荷台数は前年比1.3%増なのだが、フィーチャーフォン(旧来の携帯電話=いわゆるガラケー)は36.3%減にもなっている。両方を合わせた出荷台数は3246.5万台で、2007年以降で最低の数字だった。

 ガラケーが減ってスマホが増えたと見えなくもないが、両者の増減率を比べてみれば、ガラケーの減少率をスマホの増加率がカバーしているわけではないことがわかる。

 スマホだけみても、2020年の出荷台数は3007.5万台だが、過去最多となった2017年の3199.4万台には及ばない。スマホの出荷台数も伸び悩んでいるのだ。

 その大きな原因が、2019年10月施行の改正電気通信事業法である。この改正で、携帯電話の通信料金と端末代金が完全分離されることになった。それまではキャリア(通信業者)の長期間の契約で端末代を割り引くプランで、端末は「実質ゼロ円」が普通の状態になっていた。それによって、キャリアは消費者を獲得していたわけだ。ところが改正電気通信事業法によって、割引施策に制限がかかることになった。

 透明性が高まった一方で、端末代の“見た目の負担感”が大きくなったことで、新品のスマホを購買する意欲は低下した。それは、2020年の新品出荷台数伸びの鈍化が如実に物語っている。

 そうした新品スマホの需要低下と裏腹に、活況を呈している業界がある。それが、中古スマホ業界だ。

 MM総研は2020年3月に発表している「中古スマートフォン市場規模の推移・予測」で、2025年度の中古スマホの販売台数を265万台と予測している

 同調査によると、中古スマホの販売台数は2017年度で154万台、2018年度151万台となっている。それが、電気通信事業法の改正をはさんだ2019年度には163万台と、過去最高を記録。そして、これからも急激に伸びると予想されているのだ。

「やはり電気通信事業法の改正が大きなきっかけになりました。たとえば10万円の端末の割引制限が2万円までになると、8万円は自己負担となるので購買意欲は削がれますよね」というのは、中古携帯業界の大手「携帯市場」の粟津浜一社長である。

 消費者を中古に向かわせるもうひとつの要因もあった。粟津社長が続ける。

関連記事

トピックス

「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止に…(時事通信フォト)
【デフリンピック半年前の騒動】デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止「監督は聴覚障害に理解があるはずでしたが……」 ろう者サッカー協会が調査へ
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン