カバーを外すと出てくる白髪の男性は……?
とはいうものの、外食ができなくなったわけではないので、本が出たあとも、都内で中華の探求は続けているそう。
「いまは麻婆春雨をめちゃくちゃ食ってます。中華にも似た料理はあるんですけど、麻婆春雨って永谷園が考えた、実は日本生まれの日本料理なんです。なのに四川風麻婆春雨なんてものがあったら、特に本格的な中華料理のお店にはないはずが、たまにあるんですよ、ないはずの麻婆春雨が! 何が出てくるんだろうって、必ず注文します」
本の装幀も増田さんがみずから手がけた。
「もともと古本が好きで、古いエロ本とかの、保存状態とかもあるんでしょうけど、途中でページの色が変わっていたりする、ああいう感じを出したくて、デザインしました」
カラフルな黄色のカバーをはずすと、白髪の男性が中華屋でチャーハンを食べている写真が出てくる。気のせいか、増田さんに面差しが似ているような……?
「父親です。タイトルにちなんで、未来の自分がチャーハンを食べてるって体の表紙にしようってことで、一番適任はだれかと考えると、おやじしかいないな、と。ということで、長野から都内に来てもらって撮影しました」
【プロフィール】
増田薫(ますだ・かおる)/多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。児童向け絵画教室勤務。フリーランスで主に紙媒体のデザイン、イラストを制作。8人組ソウルバンド「思い出野郎Aチーム」のサックスを担当。ウェブメディア「ジモコロ」の連載をきっかけに漫画を描き始め、本書が初の著書となる。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2021年6月3日号