帝国ホテル

日本・アジア・中東の選手団向け「富士食堂」の料理長を務めた村上信夫さん(前列中央)とシェフたち(写真提供/帝国ホテル)

 このように東京五輪を契機に新技術が次々と花開いた。

「戦時中、軍用機の設計に従事した技術者たちが鉄道技術研究所に再就職しました。彼らが零戦のフラッター問題を解決したときの技術を高速鉄道に応用して新幹線が生まれたのです」

 システム化とマニュアル化によって最新の技術が日本全国に普及し、さらには、かつて培った技術が、新たな革新を生む──1964年はまさに躍進の年だった。

台所革命!憧れの家電で負担が減る

「高度経済成長期は“生活革命期”で、女性の生き方が変化した時期でもあります」

 と指摘するのが、生活史研究家で作家の阿古真理さんだ。

 家電三種の神器や3Cなど憧れの品が登場する中、団地ではガス・水道・電気が整備されていく。だが、土間にかまどの家もプロパンガスの家もあり、台所環境に幅があったのがこの頃だ。

「かまどは火力が安定せず、薪も必要。台所革命で水汲み・火起こし・火力管理がなくなると料理が時短され、女性の自由度が増していきました」(阿古さん・以下同)

 働く女性が増えたのもこの頃。恋愛結婚が見合いを上回り、職場結婚も増えていく。

「小津安二郎監督が映画『秋刀魚の味』で描いたような“共働きで団地住まい”が、当時の最先端でしたね」

取材・文/北武司

※女性セブン2021年6月10日号

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