東京競馬場のパドック
サトノレイナスはこれまですべて牝馬限定戦だけに力関係が不明だが、むしろ不気味でもある。4度のレースすべてで出遅れているだけに、直線の長い東京2400mなら強さを発揮しそうだ。ルメールサイドが、3戦すべてに騎乗して3連対のグレートマジシャンではなくこちらを選んだのは、他の馬より2キロ軽量ならばということも含めた純粋な勝負勘があるのだろう。ただし前売りオッズを見る限り、ルメール人気が後押ししている印象も強い。
むしろここではワンダフルタウン。周知のように青葉賞勝ち馬はダービー未勝利だが、それは、このトライアルでやっと権利を獲った馬についてのこと。彼は2歳時に2000mのかつての出世レースであるラジオNIKKEI杯(京都2歳ステークス)を勝っている。重賞2勝、年明け1戦のみでそれが同じコースでの勝利。過去4戦すべてに騎乗している和田竜騎手は10回目のダービー、そろそろ順番が回ってきてもいい。
皐月賞2着のタイトルホルダーはエフフォーリアに完敗した印象で人気を落とすのなら狙い目。終始つつかれながら2着に粘り切った力量は侮れない。ノーザンファームを中心とする社台グループの寡占化が進む中、オークスは日高の馬が出走馬の過半数を占め、結果1、3、4着となった。ダービーではわずかに4頭だが、社台グループの集大成ともいえる父が鉄道すら通らなくなった馬産地を盛り上げることになれば、日本競馬の未来はさらに楽しくなる。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。