レストランのテラス席で、食事をしながらおしゃべりを楽しむ女性たち。セントラル・パークは、日光浴や散歩を楽しむ人で賑わっている。彼らの口元にマスクはなく、皆晴れやかな表情を浮かべている。5月下旬の週末、アメリカ・ニューヨークは“当たり前の日常”を取り戻していた。
「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、2回目のワクチン接種を完了した人は、4月27日には屋外で、5月13日には屋内外を問わず、マスクをしなくてもいいという指針を出しました。カフェやレストラン、美術館や百貨店なども全面的に再開して、ほとんど、コロナ前の状態に戻っています」(ニューヨーク在住のジャーナリスト)
同じような光景は、同様にワクチン接種が進んでいるイギリスなど欧州各国にも広がっている。
かたや日本は、ワクチン接種が始まったばかり。自治体の接種センターには朝6時から高齢者の行列ができ、65才以下にもかかわらず、ツテを頼って“裏口接種”をしようとする人も後を絶たない。
「ワクチンさえ打てば、すぐに元の生活が戻ってくる」と信じている人が多くいるが、日本もアメリカやイギリスのようになるのだろうか。すべてを解禁するのは早急だと、医療法人社団北垣会たけしファミリークリニック院長の北垣毅さんは話す。
「イギリスの医学誌『BMJ』に掲載されたレポートによると、ファイザー製のワクチンは、1回目の接種では完全に免疫ができないため、52%の効果しかない。2回目の接種後2週間ほど経って初めて、90%以上の効果が出るのです。
2回の接種は3週間の間隔を空ける必要があるので、免疫ができるまでに約1か月半かかる計算になります。そのため、日本ではワクチンの効果で感染者数や重症者数が減るのは、7月に入ってからになるでしょう」