ビジネス

ヒット雑誌連発した「サン出版」 時代の空気を読むのに長けていた

サン出版40年の歩みが掲載された『サン出版社史』

サン出版40年の歩みが掲載された『サン出版社史』

 売れた雑誌はすぐさま真似る「二番煎じ上等!」の精神で大ヒットを連発したのが、1972年に創業し、2013年に看板をおろしたサン出版。投稿写真、街角ナンパ、熟女や人妻……「エロ本の総合デパート」とも呼ばれた。アダルトメディア研究科の安田理央氏が、サン出版について解説する。

 * * *
 日本のエロ本の歴史を語る上でサン出版は外すことのできない大きな存在だ。『Don’t』のようなコンパクトなA5判雑誌や『マガジン・ウォーB組』のような週刊誌サイズのB5判雑誌をコンビニで買ったのがエロ本との最初の出会いだったという読者も多いはずだ。大ヒットとなった雑誌は数限りない。

 このように誰もが手に取りやすい「売れる」エロ本を作るのが得意でありながら、『JUNE』『性生活報告』『セクシーアクション』『投稿写真』『投稿ニャンニャン写真』『コミック・アムール』といった新ジャンルを開拓する先端性もあり、その一方で売れている雑誌をすぐにパクってしまうなんて面もあった。

 また創刊時は『スコラ』を目指したものの、すぐに時流にあわせてコロコロ誌面を変えていったことで成功した『マガジン・ウォー』のような雑誌も多い。

 1983年にアイドル雑誌として誕生した『ザ・シュガー』が、1997年に突然ナンパハメ撮り誌の『ストリート・シュガー』へとリニューアルした時は、そのあまりの極端な変貌に言葉を失ったものだ。

 売れなければ、あっさりと路線変更をするというのはエロ本出版社共通の基本姿勢だが、サン出版は特にそれが上手いという印象があった。売れていないから路線変更をするわけだが、一歩間違えばさらにジリ貧になる可能性も大きい。しかし、サン出版の雑誌はその成功率が高かったのではないだろうか。

 つまり時代の空気を読むのに長けており、その時々のニーズを的確に誌面に反映することができたわけだ。だから次々とヒットする雑誌を作れたのだ。

 そしてエロ本業界が斜陽の時代を迎えると、あっさりとサン出版の看板を下ろしてエロ本から撤退してしまったのも、そうした社風から考えると頷けるのだ。

写真提供/サン出版 ※社史は非売品のため購入できません

※週刊ポスト2021年6月11日号

関連記事

トピックス

山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
《TBS夜の顔・山本恵里伽アナが真剣交際》同棲パートナーは“料理人経験あり”の広報マン「とても大切な存在です」「家事全般、分担しながらやっています」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン
太田房江氏
【独占スクープ】自民党参院副幹事長・太田房江氏に浮上した“選挙買収”工作疑惑 元市議会議長が「500万円出すと言われた」と証言 太田氏は取材に「全くの虚偽」と全面否定
NEWSポストセブン
西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《西内まりやが芸能界引退へ》「自分らしい人生を見つけていきたい」理由のひとつに「今年になって身内がトラブルを起こしていることが発覚」【自身のインスタで発表】
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビ第三者委に反論》中居正広氏の心中に渦巻く“第三者委員会への不信感” 「最初から“悪者扱い”されているように感じていた」との関係者証言も
NEWSポストセブン
出演しているCMの画像や動画が続々と削除されている永野芽郁
《“二の矢”で一気に加速》永野芽郁、止まらない“CM削除ドミノ”  旬の著名人起用で“チャレンジ”続けてきたサントリーからも消えた 永野にとっても大きな痛手に
NEWSポストセブン
真剣交際が報じられた犬飼貴丈と指原莉乃(SNSより)
《仮面ライダー俳優・犬飼貴丈と真剣交際》“芸能界の財テク王”指原莉乃の「欲しいもの全部買ってあげる」恋愛観、私服は6万超え高級Tシャツ
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン
奥本美穂容疑者(32)の知られざる”アイドル時代”とは──(本人SNSより)
《フリフリのセーラー服姿》覚せい剤で逮捕の美人共犯者・奥本美穂容疑者(32)の知られざる“病み系アイドル時代”【レーサム元会長とホテルで違法薬物所持の疑い】
NEWSポストセブン
ぐんぐん上昇する女優たちのCMギャラ(左から新垣結衣、吉永小百合、松嶋菜々子/時事通信フォト)
【有名女優のCMギャラ一覧表】1億円の大台は80代と50代の2人 10本超出演の永野芽郁は「CM全削除なら5億円近く吹っ飛ぶ」の声も
週刊ポスト
不倫報道の渦中、2人は
《憔悴の永野芽郁と夜の日比谷でニアミス》不倫騒動の田中圭が舞台終了後に直行した意外な帰宅先は
NEWSポストセブン