人混みができやすい吉祥寺の商店街。2021年6月(時事通信フォト)
井の頭公園は武蔵野市とお隣の三鷹市にまたがっている。パブリックビューイング会場に予定されているのは公園内の三鷹市側にある井の頭恩賜公園競技場(住所的には下連雀)である。京王線なら井の頭公園駅もあるが、吉祥寺駅から600メートルくらいしか離れていないため利用客は少ない(実際、利用客は井の頭線で最少)。また目的にもよるが、公園の各施設へのアクセスも駅名のわりにはイマイチだ。
「まあ吉祥寺で買い物とかもしたいだろうからね、ジブリ(美術館)行く人だって(井の頭)公園の駅とか三鷹(駅)よりは吉祥寺(駅)でしょ」
そう、競技場のすぐ隣は三鷹の森ジブリ美術館。こうしてオリンピックのパブリックビューイング計画があるにもかかわらず、皮肉にも6月1日まで休館を強いられていた。大規模なクラスターも出していないのに休まされた映画館、美術館は本当にかわいそうだ。これらの施設のエビデンスと、オリンピックのエビデンスの何が違うのだろう。
「うち(店主の飲食店)だっていまだに酒は出せないし夜8時で閉店だ。客もこの通り、ランチ以外じゃろくに入らない。(休業要請の)協力金だって3月分から入ってないし、それから後はよくわかんない。こんな状態でオリンピックどころかパブリックビューイングでどんちゃん騒ぎなんて勘弁して欲しいよ」
店主の言うことはもっともで、5月末の段階で3月の時短協力分は6割程度しか支給されていない。それどころか、4月12日以降の適用分に至っては申請の受け付けすら始まっていない。それ以前の事務処理が遅れているために手を付けられないというのが実情だろう。おかげで潰れてから支給されるという笑えない話まで出始めた。
「うちはいますぐ潰れるとかはないけど、協力してるのに(国や都は)約束は守らない、でも自粛はしろ、オリンピックはやる、で公園に何万人も集めるとか無茶苦茶でしょ。公園って言ってもあの辺は住宅街なんだからさ」
市が中止を訴えたのはいいね、やっぱりいい街だよ
まったくもって無茶苦茶、日本の一般国民はこのコロナ禍、ごく一部の変な輩を除けばよく耐えている。大半の一般国民は協力もしているし約束も守っている。それなのに政府や自治体の態度は「お前らが出歩くから」「お前らが遊ぶから」「お前らが酒を飲むから」というコロナ禍の責任を一般国民にエビデンスもなく全転嫁、そのうち「お前らが働くから」コロナが収束しないとでも言いそうだ。そのくせオリンピックだけはパブリックビューイングで井の頭公園会場だけでも2万人集めるというのだから正気の沙汰ではない。自粛しろ、家にいろ、でもオリンピックは集まってよし、これが日本の方針だ。
「コロナ(禍)でそんなのに来る連中なんてろくな人じゃないでしょ、それが何万人も来るなんて迷惑だよ」