ライフ

容姿差別に苦しむ40代男性介護士「お婆ちゃんたちの口があんなに悪いとは」

お婆ちゃんたちの口の悪さは、かつてのクラスの女子たちと同じだった(イメージ)

お婆ちゃんたちの口の悪さは、かつてのクラスの女子たちと同じだった(イメージ)

 容姿に恵まれず、収入も財産も乏しい中年男性を「キモくて金のないおっさん」、略して「KKO」というネットスラングが広まったのは、2015年ごろのこと。KKOこそ決して救われない社会的弱者なのではという問題提起だったが、キャッチーな呼び名が生まれただけにされてしまった。俳人で著作家の日野百草氏が、KKOを自称する元保育士男性に、「顔が苦手」と感じていることを主張の核にしたコラムが批判されたいま、KKOの境遇は変わったのかについて聞いた。

 * * *
「結局、ブサイクなおっさんに人権なんかないんですよ」

 突然の大雨にも楽しそうな男女の嬌声が響く北関東の巨大ショッピングモール、内藤豊さん(42歳・仮名)は以前よりも沈んでいた。

「でも、お婆ちゃんまでブサイクなおっさんに冷たいなんて思いませんでした」

 内藤さんは2020年3月の『41歳元保育士男性が語る「罰ゲームのような人生」の要因』で話を聞かせてもらっている。あのときの取材はちょうどバレンタインデーで場所も同じ。今回は6月12日の「恋人の日」は避けられたが、やはりおっさん二人がキッズコーナーの女児向けカードゲームを眺めながら語り合うというのは地獄だ。それでも他ならぬ内藤さんのため。

「すいません、いつも遠いのに来てもらって」

 今回も内藤さんからの呼び出し。彼とは同人イベントで知り合ってからの長い付き合いで、女児向けアニメやゲームのキラキラな世界が大好きな乙女おじさんだ。

「僕、また介護士やってるんです。保育の仕事に戻るのは無理そうなんで」

 内藤さんはかつて保育士をしていたが、彼の容姿は”ルッキズムの最底辺”(本人談)であり、幼少期から『ドラゴンクエスト』シリーズの「ばくだんいわ」他、ありとあらゆる蔑称を背負わされた。純粋な意味で子どもが好きで乙女な内藤さん、公立高校から保育の専門学校に進み、”子ども仕事は容姿重視”なんて面接ハラスメントに耐えながらも晴れて私立保育園に採用された。しかし「子どもが大好き」はイケメンなら心優しい青年だが、彼の場合は事案となる。結局、理不尽な女児に対するいわれなき疑いをかけられて退職せざるを得なくなった。内藤さん、以前の取材当時は二号警備で食いつないでいたが介護士の経験もある。それにしても、保育の仕事に戻りたいと言っていたのに再び介護の仕事についたとは。

「同じ介護でも有料老人ホームと特養だと全然違いますけどね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

公判で明らかになってきた田村一家の“地獄の家”の全貌とは
《どうしてここから出られないの…》田村瑠奈被告は現在も「首を拾っただけなのに」と弁護人に伝達、裁判で明かされた“家庭内暴力”「ガムテープが飛んできた」「運転中に首絞め」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
自身のXで追悼のメッセージを送った羽生結弦(AFLO_sports)
「一生忘れません」羽生結弦、飛行機事故で急逝した伝説のフィギュアスケーターに追悼メッセージ 苦しい時に心の支えになった大先輩との“手紙での交流”
女性セブン
ジャンボ軍団がセレクションに登場。左から金子柱憲、飯合肇、尾崎直道、尾崎健夫(撮影・太田真三)
10年ぶりに勢揃いのジャンボ軍団が語り合った「日本の男子ツアーが盛り上がらない理由」 女子はスターが次々と出てくるのに“ジャンボ尾崎の跡取り”が出ない苦悩
NEWSポストセブン
慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
1月23日、トランプ大統領はケネディ暗殺に関連する非公開資料を機密解除する大統領令に署名した(写真=AP/AFLO)
【本当に狙ったのは誰か】「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件」の記録が完全公開へ 落合信彦氏の著書『二〇三九年の真実』で指摘された謎や不審点
週刊ポスト
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン
引退後の生活を語っていた中居正広
【全文公開】中居正広、15年支えた恋人との“引退後の生活” 地元藤沢では「中居が湘南エリアのマンションの一室を購入した」との話も浮上
女性セブン
2名の未成年飲酒が確認された慶應義塾アメフト部(時事通信/インスタグラムより)
《2年足らずで再度発覚》慶應アメフト部員、未成年飲酒で複数名が処分 同部が声明「厳正に対処いたします」
NEWSポストセブン
親方としてのキャリアをスタートさせた照ノ富士(写真・時事通信フォト)
【25億円プロジェクト】照ノ富士親方の伊勢ヶ濱部屋継承 相撲部屋建設予定地の地主が明かした「6階建てお洒落建物」構想
NEWSポストセブン
水原被告がついた「取り返しのつかない嘘」とは
水原一平被告がついた「取り返しのつかない嘘」に検察官が激怒 嘘の影響で“不名誉な大谷翔平コラ画像”が20ドルで販売
NEWSポストセブン
折田氏が捜査に対し十分な対応をしなかったため、県警と神戸地検は”強制捜査”に踏み切った
《「merchu」に強制捜査》注目される斎藤元彦知事との“大きな乖離”と、折田楓社長(33) の“SNS運用プロ” の実績 5年連続コンペ勝ち抜き、約1305万円で単独落札も
NEWSポストセブン
ギリギリな服装で話題のビアンカ・センソリ(インスタグラムより)
《露出強要説が浮上》カニエ・ウェストの17歳年下妻がまとった“透けドレス”は「夫の命令」か「本人の意思」か
NEWSポストセブン