東京都庁にあった五輪・パラボランティア募集コーナー(時事通信フォト)

東京都庁にあった五輪・パラボランティア募集コーナー(時事通信フォト)

 オリンピックには世界中から9万4000人余の選手、関係者が集まる。各国万全だと政府は抗弁するが、さっそく五輪事前合宿のウガンダ選手団に陽性者が出てしまい、結局選手団と対応した泉佐野市の職員が濃厚接触者として隔離の羽目になった。つまり成田空港ではザルだったわけで、これから事前合宿のために全世界からの選手団が全国に散らばる。もちろんオリンピックが始まれば首都圏に集中する。はっきり言わせてもらうが、とても恐ろしいと思う。しかし若者の重症例は少ないわけで、年齢によるコロナに対しての温度差はあるだろう。

「うーん、そもそも僕はコロナなんて怖がる必要ないと思ってます。でも、タダ働きなら応募してないです」

 島木さんの意見は個人の自由なので置いておくが、タダ働きというのは派遣バイトより先に募集されたボランティアのことだろう。東京2020フィールドキャストと呼ばれるもので、手にしたスマホでサイトに行ってみるといきなり「オリンピック・パラリンピックの成功は、まさに「大会の顔」となるボランティアの皆さんの活躍にかかっています!」「みんなで一緒に東京2020大会を盛り上げていきましょう!」など檄文が踊る。8万人募集だそうだが、まだ募集しているところをみると集まってはいないようだ。

「タダは嫌です。誰が応募するんだろう」

 もう忘れた方々も多いかもしれないがこのボランティア、実はすでに2019年9月に募集が開始され、当初は「大会ボランティア」と「都市ボランティア」全体で24万人が応募、定員の倍が押し寄せる大盛況だったのだ。それが2020年のコロナ禍と延期、組織委員会幹部の失態とが相まって辞退者続出、おまけに当初予定の8万人では全然足りないという目算の甘さも加わり、派遣会社経由でアルバイトを頼む羽目になったという経緯がある。

「ボランティアなんてバカバカしいです。そんなのより派遣に登録したほうがいいです」

 もっともな話で、金が貰えて同じ仕事内容なら、半ば強制された関係者かよほどの物好きでもない限り無償奉仕はしないだろう。ボランティアに参加するとグッズが貰えるようだが、派遣バイトでも派遣会社によっては貰えるようだし、ボランティアに支払われるのは1000円の交通費だけなので会場から金額範囲内に住んでなければ足りない分は自分持ちだ。ボランティアなのだから仕方ないと言われればそれまでだが、だったら島木さんの言う通り派遣でバイトしたほうがマシである。フィールドキャストなる五輪ボランティア、正直わけがわからない。

ウーバーで選手に配達できたらいいな

 筆者はのちに旧知の派遣会社役員に聞いてみたが、「元請けは8割くらい中抜きできる。そこからうちみたいな中小の派遣屋に流れ込んでくるが、下請け、孫請けの立場でもそこからさらに半分以上中抜きできる。末端(バイト)に辿り着く金は1程度」とのことで、これが本当なら派遣会社に莫大な税金を渡しているだけだ。請負先の派遣会社に払う金は回り回って税金である。

「そういうの言われても困りますよ。僕が貰えればいいです」

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