国際情報

旅行需要旺盛な韓国 ドラマ俳優らによるロケ地ツアーで呼び込みも

(写真/AFLO)

韓国は入国前後のPCR検査回数の緩和を発表(写真/AFLO)

 新型コロナウイルスのワクチン接種が着々と進む韓国では、規制の緩和や経済の回復に伴い、コロナ終息後を見据えた動きが活発化しているという。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがリポートする。

 * * *
 コロナのワクチン接種が進む韓国では、足元では感染者の増加が見られるものの、人々の警戒感の薄れとともに、街の活気も少しずつ戻ってきている印象だ。現時点でのワクチン接種率は、総人口に対して3割(1次新規接種者)程度にとどまるが、医療関係者や高齢者だけでなく、アプリから申し込めば「ノーショー(当日キャンセル)」分を誰でも接種できる仕組みになっており、今後も着々と接種が進むと見られる。一時大きく暴落した株価もその後は上昇を続け、旅行代理店や航空会社の株価も回復、2020年1月のコロナ前の水準を上回っている。

 経済の回復とともに、早くも海外旅行再開への期待も高まっている。韓国政府はこれまで、ワクチンを接種していても入国時に2週間の厳格な隔離期間を設けていたが、7月からは海外でワクチン接種を完了した人が韓国内の投資や技術協力のために入国する際の隔離を免除することを発表。韓国入国前と後で4回実施していたPCR検査も入国72時間前に1回、入国1週間後1回に緩和し、防疫アプリで14日間移動や動線を確認するなどして対応するという。

 また、韓国中央災難安全対策本部は6月8日、オーストラリアとニュージーランドの間で行っているような、相互の入国者の隔離措置を免除する「トラベル・バブル」制度をワクチン接種が進んでいる他の国と結ぶことも発表した。ワクチン接種を完了した人に限り、早ければこの7月から仁川空港発の海外旅行を許可する方針で、既に6月29日にはサイパンと合意。世界的に感染力の強いデルタ株の変異ウイルスが広がるなかでも、ワクチンの接種が進むにつれ、韓国内では「海外旅行が出来る日も近いのでは」と期待する人々の声も多く聞かれた。

 特に、韓国の若者の海外旅行需要は旺盛だ。フランス観光庁が5月、韓国人8129人(うち7割は20~30代)を対象に行った調査によると、海外渡航制限解除後1~4か月以内に海外旅行に出かけたいと答えた人は29%にのぼり、6か月以内も28%、1年以内でも24%と8割以上の人が海外旅行に前向きだった。「コロナ終息後に最も行きたい国」ではヨーロッパが68%と圧倒的に多く、日本、東南アジアの人気は低かった。若いうちにできるだけ遠い国に行ってみたいという願望が反映された結果なのかもしれない。

 一方、50~60代の韓国人600人を対象にしたインパクトピープルスの調査(2021年3月)では、「コロナ終息後に最も行きたい国」1位は日本(11.5%)で、「過去に旅行した最も良い国」でも日本が1位(31.8%)となった。「距離が近く移動の負担が軽い」、「近いのに韓国とは異なる文化を体験できる」ことが主な理由だ。

 韓国のオンライン旅行代理店インターパークが、海外渡航制限解除後1年以内に使用可能な日付未指定の往復航空券を販売したところ、約1か月で1万2000人が購入。閑散期の割安価格でいつでも好きな時に利用できることが人気を集め、購入者のほとんどが1人2枚以上購入したという。最も売れたのはグアム、ベトナムのダナン、札幌行きで、飛行時間が短く、都会よりリゾート、家族で楽しめる地域が好まれているようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト