中華蕎麦 沙羅善の「濃厚豚骨魚介つけ麺」(提供写真)
「沙羅善」では、「濃厚豚骨魚介つけ麺」並が1200円。「コーチン軟骨つくね」(250円)などのトッピングや「トリュフ香る卵かけごはん」(600円)などのサイドメニューも注文すると、客単価は2000円ほどになる。ラーメンに2000円とは高価に感じられるかもしれないが、従来のラーメン屋とは全く異なる「スペシャルな時間」も含めての外食と考えると、けっして高くはない。
トータルプロデュースという観点によって、「沙羅善」はラーメン店でありながら客単価2000円を実現した。この発想はどこから生まれたのか?
「私はどこかのラーメン店で修行を積んだ経験がないので、そのぶんラーメン店への『こうあるべきだ』という固定観念がないんだと思います。昔から和の落ち着いた雰囲気が好きで、洋食レストランなどに行っても『この空間で感動が生まれる場面はどこか? それを和テイストにアレンジするには、どうしたらいいか?』といったことを常に考えています。その上で、『この雰囲気を自分のお店のどこかに取り入れるとしたら、どうすればいいか?』などを私なりに考えて、形になりそうであれば実際に具現化しています。そういった自然としている考え方や行動が、経営に生かせているのかなと思います」
梅澤さんはSNSの使い方も特徴的だ。ただ営業に関する情報を告知するだけではなく、来店者の感想に「いいね」をつけたり、日々のラーメンづくりの進展や気づき、プライベートなこともツイートしている。また、毎朝7時頃に朝の挨拶を投稿するのも欠かさない。SNSを通して、自然と「梅澤愛優香」という個人のまっすぐな人柄が伝わってくる。
「私が試作をしているとき、『前よりも、ここが美味しくなった!』と感じたら、みんなにも自分のうれしさを共有したくて、すぐにSNSで発信したりしています。告知以外の日常のちょっとしたことなども発信することで、お客さまとコミュニケーションができると同時に、知らず知らずのうちに理解しあえ、自然と心と心で繋がることができているのかなと思います」
もちろん、空間づくりやSNSの活用術だけではなく、ラーメン自体の味にも徹底してこだわり抜いた。「沙羅善」のオリジナル専用粉には、幻の小麦と呼ばれる「農林61号」、希少な古代小麦「スペルト小麦」などが配合されている。また、スープやチャーシューには、高級ブランド豚である平田牧場の「金華豚」を使用した。