「彼女は天性の才能と体格に恵まれ、瞬く間にトップに立った印象があります。そのためか良くも悪くもテニスに対する執着心が薄いところがあります。全仏の記者会見の一件で、全仏、全英と連続で四大大会を欠場したこともそういったところでしょう。世界ランク1位を取ると目標を失いモチベーションを保つのが難しいですし、ほかの選手より『引退』という選択肢は近いところにある気がします」
一生に一度あるかないかの母国開催の五輪に向け、大坂選手は、練習拠点のアメリカで練習を再開した。五輪直前に帰国して試合に臨むプランを選んだという。いま、彼女の脳裏には「これが最後の舞台」という思いがよぎっているのだろうか。精神科医の片田珠美さんは、大坂選手の精神状態をこう分析する。
「大坂選手は『新型うつ病』の可能性が高いと思います。若い女性に多いのですが、好きなことやうれしいことをやっているときは元気で明るくなるのに、仕事など嫌なことになると落ち込む『気分反応性』が認められます。
大坂選手は、“2018年の全米オープン優勝後にうつ病を発症した”と告白していますが、目標を達成した後にうつ病になることは少なくありません。五輪が、大坂選手の精神状態に影響を与えることは充分に考えられますね」
五輪後も、一日でも長く、コート上に咲く“なおみスマイル”を見続けられることを期待したい。
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号