アメリカからの輸入大豆は、除草剤で枯れない耐性をつけるため遺伝子組み換えが行われた(写真/Getty Images)
「遺伝子組み換えの食材が使われるようになってから、まだ20年程度です。この先、何十年と食べ続けることにより、どんな変化が起こるのか誰にもわかりません。さらに、アメリカ産の大豆は『ラウンドアップ』という除草剤をかけても枯れないように遺伝子が組み換えられていますが、この除草剤は『グリホサート』という発がん性が指摘される成分を含んでいます。日本に輸入された遺伝子組み換え大豆は、グリホサートの残留リスクも問題とされています」(鈴木さん・以下同)
日本では、「国内で栽培した遺伝子組み換えの農作物に関しては、市場へ流通させてはいけない」というルールがある。そのため、しょうゆや納豆など大豆の発酵食品を買う際は、「国産大豆(遺伝子組み換えでない)」と書かれた商品を選べばリスクを避けられる。ところが、2年後にはそれができなくなる恐れがある。
「現在、国産大豆を主な原材料としている場合、原材料名には『遺伝子組み換えでない』といった表示があります。しかし、工場のシステム的な都合上、国産大豆と輸入大豆を完璧に分けることは難しく、国産大豆の中に5%以下なら輸入大豆が混入していても、『遺伝子組み換えでない』と表示することが法律で認められています。
ですが2023年4月以降はルールが厳格化され、ほんのわずかでも混入していたら『遺伝子組み換えでない』の表示は使えず、不正が発覚した業者は摘発対象になります」
一見、食の安全が守られているように感じるが、業者側はハイリスクとなる「国産大豆」をうたうことを避け、その結果、どうせ国産をうたえないのならと、ますます遺伝子組み換えの輸入大豆に頼った製品が増える可能性が示唆されるのだ。
見栄えのためだけにわらで包む納豆も
さらに不安なのは、仮に100%「国産大豆」ならば信用できる発酵食品かというと、そうとは限らない。管理栄養士の圓尾和紀さんが言う。
「スーパーに並んでいる多くの納豆は、大量生産するため人工的に培養された納豆菌を使っていることが多い。わらで包んで発酵させた昔ながらの納豆の方が、自然に発生するほかの菌も作用しているため、幅広い健康効果が期待できます。さらにまぎらわしいのは、たとえわらに包まれた納豆でも、それは見栄えのために包んだだけのものが非常に多いということです。また、生産効率を上げるため、国産大豆でも農薬が使われていることも少なくない」
納豆には、付属でついてくるたれやからしの食品添加物の問題もある。
「たれやからしは、ものによって果糖ブドウ糖液糖などの人工的な甘みが足されており、アミノ酸などの調味料、たんぱく加水分解物、酵母エキスといった味覚に刺激を与える添加物が入っていることがある。これでは納豆本来の味ではなく、たれの味を楽しんでいるようなもの。逆に言うと、たれやからしをつけていないメーカーは信用できるといえます」(圓尾さん)
薬を常用している人も要注意。場合によっては、納豆を食べたことが命にかかわるかもしれない。土谷病院薬剤師長の鎌田直博さんが言う。
みそ、しょうゆなど国内で販売される多くの商品に輸入大豆が使われている(写真/PIXTA)