「健康食品や機能性表示食品、トクホ(特定保健用食品)でも、実際のところ、多くの企業は成分表示通りに栄養素を配合することを約束していないはずです。なぜ、それが許されるのかというと、たとえばレモン1個のビタミンC含有量は20mg程度と決められていますが、すべてのレモンが同じということはあり得ない。極端な話、もしビタミンCが1mgしか配合されていないレモンがあっても、気候の影響などで、たまたまそのレモンのビタミンCが少なかっただけだと許容されます。
食品における成分表示のルールを逆手に取り、表示通りの配合を約束していない企業は多い。次々に出てくる機能性ヨーグルトの中には、そういったまがいものも少なくない」
仮に成分表示が事実でも、ヨーグルトに含まれている菌が自分の体質に合わない場合はマイナスの効果となりかねない。
「腸内細菌は人によって違います。商品のうたい文句を過信して自分には合わないものを食べ続けると、下痢や便秘、アレルギー症状、酸化ストレスによる老化などの悪影響が懸念されます」(圓尾さん)
そもそも、乳製品にはカゼインというたんぱく質が含まれているが、そのカゼインが合わない人もいる。この場合、健康のためにとヨーグルトを摂取すると、体調不良を招くので注意したい。
「ニセモノ」が蔓延する発酵食品業界だが、納豆やキムチなどは、安売りの商品ほど「ニセモノ」の可能性が高まる一方、ヨーグルトに限ってはその逆だと中村さんは言う。
「比較的安価なプレーンヨーグルトの方が、異性化糖や人工甘味料などの余計な成分が入っていないことが多い。これらの糖は、摂取すると血糖値が急上昇し、“血糖値スパイク”と呼ばれる現象が起きる。その結果、膵臓の機能障害が起きて、糖尿病になる可能性を高めます。値段の高い機能性ヨーグルトであっても、危険な糖が含まれている商品を見かけることは多いのです」
発酵食品が体にいいことは事実。しかし、健康ブームに踊らされていると、本物の健康食品を見分けられなくなるかもしれない。見極める目をぜひ身につけてほしい。
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号