一見慎ましやかな女性を演じる
男性目線からの回を「TOSHIRO SIDE」、女性目線からの回を「AKIKO SIDE」として、それぞれの目線から二つのストーリーを描き出す。
7月19日放送の第5話までは「TOSHIRO SIDE」として、明子に逃げられた敏郎からの視点で描かれました。そして次回26日の6話からいよいよ「AKIKO SIDE」へバトンタッチ。明子の気持ちを中心にして描かれる。さて、剛力さんが別の明子の姿をいかに演じ切ることができるか、注目です。
剛力さんだけでありません。敏郎を演じている三浦貴大さんもいい味を出しています。「どこにもいそう」な男性をリアルに描いていて実に上手い。
ちらりとのぞくエリート意識、ちょっと自己中で仕事中心でやや女性蔑視のモラハラ気質。しかし、そんな自分を自覚していない。彼女がいなくなってやっと、さまざまなことに気付き始めハタと自分を振り返る。 男からみれば「あんなに楽しそうだったのに、いきなり失踪したのはなぜか」「調べれば調べるほど、自分の知っていた女と違う姿が見えてくる」というショック。では、女から見たら男との関係はどうだったのか。いったい何のためにこの男に近づき、プロポーズされるまでの関係を作ったのか。そこに深い意図や作戦があったのか……。
三浦貴大も好演
そう、このドラマがやろうとしているのは「一つの同じ出来事でも、見る角度が違えば意味も全く違ってくる」といういわば哲学的命題&ドラマティックなテーマです。凡庸なる恋愛も男側からと女側からでは、見えている景色がガラリと違うということかもしれません。
皮肉にも、開幕したオリンピックの「平和と調和」「多様性」という表向きの美しい顔が、別のサイドから見たらボロボロに映る、という現実ともシンクロしていそう。ドラマのテーマ性と現実とが、奇妙に響きあう意味深。まずは宇宙に行かない決断をした女優がこれから地上でどれくらい暴れてくれるのか、期待して見たいと思います。