『あなたのことはそれほど』(TBS系、2017年)も同じだ。幸せな家庭の主婦だったはずの渡辺美都(波瑠)が、ただのクズ男の有島光軌(鈴木伸之)と不倫関係に。これも主演の波瑠さんのイメージを覆す、不倫妻の演技が印象に残った。
他にも不倫ドラマはたくさんあるが、個人的には『セカンドバージン』(NHK総合、2010年)が衝撃的だった。前述の2作品と同様に、独身の編集者・中村るい(鈴木京香)と鈴木行(長谷川博己)のドロドロ不倫劇をドラマ化したものだったけれど、天下のNHKが不倫をテーマに扱うこと、ベッドシーンが放送されたことに驚いた。放送中、周囲の女友達とよくこの話題をしていたことを思い出す。
この“する側”が定番だった不倫ドラマの風潮を変えたのが『ホリデイラブ』(テレビ朝日系、2018年)だ。ネイルサロンを自宅で営む、既婚の高森杏寿(仲里依紗)に突然夫の不貞が発覚……。さらにその不倫相手が暴走して夫を追いかける、自身も不倫の沼へ落ちそうになるなど、これまでのパターンを覆す形になっていた。“サレ妻”という言葉が流行したのも、ここからだ。
裏切られた側を主役に描く令和
そして時代は令和に突入。不倫ドラマは“される側”にスポットライトが当たるようになった。不倫をテーマにした今夏の3本のドラマは次の通りだ。
『にぶんのいち夫婦』(テレビ東京系、水曜深夜)は、浮気をされた妻・中山文(比嘉愛未)が主人公。まもなく最終回を迎えるこちらの作品だが、クライマックス目前で夫・和真(竹財輝之助)が妻の友達とデキていたことが発覚。一方の文には年下男子くんがアプローチをしてくるという、浮気には浮気で対抗するという現代らしい展開も見られた。