スポーツ

大島康徳さんが家族に遺した「命の終わり方はこんなもの」

1990年に2000安打を達成した大島さん(時事)

1990年に2000安打を達成した大島さん(時事)

 今年6月に亡くなった元プロ野球選手の大島康徳さん(享年70)。5年前にステージ4の大腸がんが見つかり、「余命1年」と宣告されたことも、その後の闘病生活も公表して「病とともに生きる」姿をファンに見せ続けてきた。選手としては2000安打を達成して名球会入りを果たし、日本ハムの監督としては森本稀哲や田中賢介らを育てた。「瞬間湯沸かし器」と呼ばれたように、グラウンドでは熱血漢で血気盛んな姿も印象的だったが、がんを患ってからはブログで日々の生活や病に関する考え方を綴って、社会的にも大きな影響を残した。

 最晩年には、病についてネットユーザーから心ない言葉が浴びせられる事件が物議をかもし、これは本人の意思とは違う形だったとはいえ、病と生きること、そして病を得た人と生きる社会について大きな課題を投げかける人生となった。

『週刊ポスト』(7月28日発売号)では、昭和の偉人たちの「最期の言葉」を特集している。そのなかで大島さんの妻・奈保美さんがインタビューに答えているが、そこで紹介しきれなかった大島さんの生き様を改めてお届けする。

 * * *
 主人は闘病生活のなかでも「あれをしてくれ」「これをしてくれ」ということはほとんどなくて、一人で病と向き合っているように見えました。その姿を見て、家族としても最大限にその思いに応えたいと思いましたから、「よく頑張っているね」といった励ましもあえて言わず、最後まで笑顔で見送ってあげることができました。

 言葉がなくても、これまでありがとうという気持ちにさせてくれて、すごい人だったと今にして思いますね。病気と向き合ってから4年半以上の時間がありましたが、静かに眠るように旅立っていくことができて、彼の生き方が間違っていなかったことを家族に無言で見せてくれたような気がしています。

 主人は現役時代から家では野球の話はしませんでしたし、口数も少なかったですね。私や子供たちがワイワイやっていても、そこには入ってこない。こちらしては、それで楽しいのかなと疑問に思うこともありましたが、家族が楽しそうにしているのを一家の主として見守っている、その時間を一緒に過ごせることが幸せだったようですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン