予科練修生時代の盛田さん。休暇で実家に帰った時。我が家に帰るのはこれが最後と思っていた(盛田さん提供)。

予科練修生時代の盛田さん。休暇で実家に帰った時。我が家に帰るのはこれが最後と思っていた(盛田さん提供)。

 盛田正明さんは、名古屋で生まれ育った。近くに陸軍の飛行隊があり、空をぶんぶんと飛行機が飛び回っているような街だった。毎日、学校から帰ると家の屋根の上に上って空を眺めた。「俺も早く飛行機に乗りたいなあ」と憧れた。

 飛行機の設計技師になりたかったが、もう大学に行っている時間はない、その前に日本はつぶれてしまうだろう。通っていた中学に将校が「甲種飛行予科練修生(予科練)になりたい奴は集まれ」と勧誘に来た。何がなんでもまずは戦わなくては、自分が国を守らなければ、と奮い立ち、「行くなら大将になれる海軍兵学校へ」と言う母親の反対を押し切って入学した。

 戦争に行ったら3年先か5年先かわからないがいつかは死ぬだろう、じゃあどうやって死にたいか考えて、「やっぱり俺は空だ」と思ったという。

 予科練では1年半ほど猛訓練した。椅子に乗せられてグルグル回され、パッと止められた瞬間にまっすぐ歩く。目が回ってフラフラしてしたらパイロットに向かないと判断されてしまうが、盛田さんは平気で線の上をまっすぐ歩けた。そして1944年、17才の時にパイロットとして合格した。

 予科練を卒業するとパイロットの訓練が始まった。宮崎県の海軍の飛行場で、神風特別攻撃隊、神雷(しんらい)部隊(人間ロケット「桜花(おうか)」の部隊)がいた。出撃して何機かは帰ってこないのを見て、やがて自分もそうなると実感した。

 盛田さんは、その後、山口県の岩国、茨城県の霞ヶ浦、福島の郡山、と航空隊を異動していく。そして郡山で突然、玉音放送を聴くことになった。戦争が終わってアメリカ軍が上陸してきたら当時は何をされるかわからない。特にパイロットだと知られたら殺されるかもしれない、と飛行帽や飛行服などパイロットだとわかるものは全部捨てていけと言われ、実家の名古屋へ戻った。

 男きょうだい3人が海軍だった盛田家。特攻隊で生きて帰るのは難しいだろうと両親は諦めていたようだが、3人とも生きて帰ることができた。

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