会見して謝罪、そして許されるという手順を踏むことも近ごろは難しくなった(イメージ)

会見して謝罪、そして許されるという手順を踏むことも近ごろは難しくなった(イメージ)

 それはよくわかる。視聴者は自分の好みだけなのでメジャーもマイナーもないだろうが、プロからすればメジャーとマイナーは歴然と存在する。スポーツほど厳格に分かれていなくともエンタメ、例えば漫画などは明確だ。プロはその創作に生活すべてが懸かっている。あくまで一般論だが、大手出版社のメジャー誌に連載の声を掛けられて無視するプロの漫画家は少ないだろう。同じように芸人だってキー局に出たい。チャンスが欲しい。誤解しないで欲しいが、これはあくまでプロの話である。兼業やアマチュアで好きにやるという自由も存在する。それはそれで素晴らしいことだが、本稿はテレビに出るようなプロの専業芸人、ましてキー局のレギュラーを争うような芸人の話であり、表現行為や創作の上下の話ではない。そしてプロの世界はいずれも残酷だ。

「その厳しい中で、いま芸人に求められることも増えています。昔みたいにコントが面白いとか、演技力があるとか、そんなことは当たり前の話で、いかに社会に対してテレビを通して伝えられるか、視聴者の興味を引けるか、数字を持ってるか、これらすべてをクリアして、キー局のレギュラーでいられるわけです」

◆毎分視聴率を上げてくれればいい

 社会に対してテレビを通して伝える、これはワイドショーや報道に関してのことだ。先にも言及したが、いまや芸人はテレビで政治経済、社会問題から国際情勢まで語るようになった。1990年代までは考えられなかった話だ。

「詳しい必要はありません。それは専門家を連れてくればいいし、局アナもサポートします。いかに視聴者の興味をひくか、適度にわかりやすく噛み砕いてくれるか、あと丁度いいくらいに世間とのズレがあるといいですね。それで世間の空気は読めてるというか、この辺はセンスの問題ですね」

 そうは言ってもネット上でたびたび発言が問題になる芸人もいる。彼らが切られないのはなぜか。

「かつてのようにネットを無視はしませんが、冠(番組)ならそれを上回る数(視聴率)を出してくれればいいし、ゲストやひな壇なら発言した時に瞬間視聴率を上げてくれればいい、お金を出してくださるスポンサーサイドのためにも、数字がすべてですね」

 アンチが多くとも、結果さえ出せばいいということか。瞬間視聴率は正確には毎分視聴率と呼ぶ。冠番組ならそのメインの芸人がすべて、いわゆる平均視聴率で勝負することになるが、番組内のレギュラー陣やゲストの場合、その芸人が映った瞬間(分単位)に視聴率が上がったか、下がったかが勝負となる。番組内でメインから話を振られた芸人にとってはチャンスであり、その積み重ねがテレビに残れるか否かとなる。しかし昨今のテレビはSNSにおける人気も重視しているはず、フォロワー数なども影響するのか。

「いや、それは別ですね。ニッチな深夜番組やネットテレビなら加味するでしょうが、テレビに出ている芸人ならフォロワーは多くて当たり前ですし、積極的にやってない方もいますから。それにフォロワーは全員がファンとか支持者ではないでしょう。芸人によっては銃口の数だったり、政治的なヤバい連中だったりするかもしれない。実際、フォロワーの多い芸人さんを使ってみても全然数字がとれない場合もありますよ。いわゆる、テレビ的には有名だけど数字を持ってない芸人というやつです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン