一部芸人の困ったところは徒弟制や体育会の感覚で後輩や付き人を虐待し、それを自慢して笑いに変えてしまうところだ。古くはデビュー当時のとんねるずもそれだったが、そんなに古い話でもなく2000年代、カンニング竹山などは付き人に対する虐待、自分の歯垢を忠誠の証として食わせる、尿を飲ませる、せんべいに恥垢をつけて食べさせるといったおぞましい行為を全国ラジオで笑いに変えて自慢していたと報じられた。

「学校時代だってまずいのに、社会人でそれはないですよ。付き人いじめは昔からあった話ですけど、最近は付き人だけじゃなく酷い目に遭ったADとか、局の下っ端の意趣返しもあると聞きます。仕方ない話ですけどね、やった内容は洒落になりませんし」

 たとえ芸人として「話も盛った」としてもこの内容で理解されるわけがないし、それは小山田圭吾そのままの論法だ。「可愛がっていた」と「俺たち仲間だもんな」は、加害者側の常套句だ。立場を利用して、いい年した大人が下の者に加虐を繰り返す。ブラック企業でも横行する手口だが、そもそも立派な犯罪行為である。

「まずいですよね、最近の竹山さんは芸人というより政府に文句を言ったり社会に苦言を呈するご意見番としてテレビに出てたでしょう、過去の話とはいえ社会人になってからの話で、むしろ小山田さんより悪質かもしれません」

 こうした騒動を過去の断罪、キャンセルカルチャーだと批難する向きもあるが、具体的な被害者のいない表現手段としての創作は過去の遺物として葬れても、暴力や虐待、いじめという名の犯罪など、明確に被害者のいる過去の悪は応報だと言われても仕方あるまい。繰り返すが、やられたほうは決して忘れないのだ。

 これからもA氏の言う通り、おのれの過去に消される芸人が出てくるのだろう。このオリンピックは選手たちの頑張り以外は残念なことばかりだが、ある意味、いじめ問題を含めた日本の旧態を晒した意味での功はあるということか。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)ほか。近著『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)。

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