ライフ

日本地震予知学会会長 「天気予報」のように「地震予報」を実現したい

地震予知の目指す先は?(時事通信フォト)

地震予知の目指す先は?(時事通信フォト)

 世界有数の地震大国である日本では、明治時代に近代科学を用いた「地震学」の研究をスタートし、研究者たちは「地震予知」の実現を目指して奮闘した。日本地震予知学会会長で、東海大学海洋研究所客員教授の長尾年恭氏が語る。

「明治時代に世界初の地震学会が日本で設立され、その研究目的のひとつは地震予知に定められていました。戦後も国家予算が投じられ、1960年代から本格的に研究が開始されました」

 ところが、地震予知と聞いて多くの人々が思い浮かべるのは「いつ、どこで、どんな規模の」地震が起こるかを指摘する技術であり、それは現在に至るまで実現されていない。

「当時は地震観測網が不十分だったため、その整備が研究の第一目的となってしまったのです。とりわけ1995年に阪神・淡路大震災が発生すると、研究者が行なっていたことと民間が期待する予知とのギャップが露わになり、予知研究バッシングも生じました」(長尾氏)

 1995年以降には地震計やGPSなどの観測システムが整備されたが、東日本大震災を経て、地震学の権威が集まる日本地震学会は「地震予知は非常に困難」との立場を表明した。

「現在の科学技術では、地震発生の直前に警報を出すほどの精度の高い予測は困難と言わざるを得ません。しかし、研究者が完全に諦めたわけではない。いずれは天気予報のように地震発生の確率を示す『地震予報』を実現することが、研究者の夢なのです」(長尾氏)

※週刊ポスト2021年8月20日号

日本列島を襲った大地震年表

日本列島を襲った大地震年表

関連キーワード

関連記事

トピックス

渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
【独占】「眞子と呼んでください…」“NYの後見人”が明かす小室夫妻の肉声 海外生活の「悩み」を吐露、圭さんから届いた「外食は避けたい」のLINE
週刊ポスト
北海道江別市で起きた集団暴行致死事件で、札幌家裁は川口侑斗被告(18)を主犯格と認めた
《江別・大学生集団暴行》「“イキり”で有名」「教師とケンカして退学」情状酌量の余地なしと判断…少年らのリーダーだった18歳の男が“グレた理由”  浮かび上がる主犯格らとの共通項「弱そうな人や歳下ばかり狙って…」
NEWSポストセブン
交際が順調に進んでいるSixTONESのジェシーと綾瀬はるか
綾瀬はるか、ジェシーの会食やパーティーに出席し“誰もがうらやむ公認カップル”に 結婚は「仕事に配慮してタイミングを見計らっている状況」か
女性セブン
シューズブランド「On」の仕掛け人として知られる駒田博紀氏
大人気スニーカーブランド「On」仕掛け人経営者が“不倫&路上キス” 取材に「ひとえに私の不徳の致すところ」と認める
週刊ポスト
田村瑠奈被告(中央)
「車のGPS記録残りますか」「高濃度アルコール売ってるかな」不自然に消された“LINE”の内容、田村瑠奈被告の両親のスマホ履歴に密談の痕跡【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
初場所
「溜席の着物美人」が相撲の観戦マナーを語る ブーム到来で「土俵溜まりで応援タオル」問題などが発生も…「守られないことが多いルールとは」
NEWSポストセブン
一家が遺体とともに過ごした“地獄の家”の全貌が明らかに(右/Facebookより)
《“地獄の家”の捜査内容》田村瑠奈被告が頭部を置いた浴室で見つかった「特殊なアイマスク」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
『べらぼう』花魁で称賛集まる小芝風花 “朝ドラ主演待望論”が消滅?その納得の理由
『べらぼう』花魁で称賛集まる小芝風花 “朝ドラ主演待望論”が消滅?その納得の理由
NEWSポストセブン
逮捕時の今村由香理容疑者(時事通信)
「お客様、実は貸金庫に忘れ物が…」三菱UFJ女性元行員・今村由香理容疑者の“バレるギリギリの隠蔽工作”の全貌【被害総額約14億円・貸金庫窃盗】
NEWSポストセブン
窮地に追い込まれている中居正広
《中居正広に新たな女性アナ告発報道の裏で》トラブル発覚前に「あの子いいべ…」関心寄せた元NHKアナ 過去に女性歌手らと熱愛も本命は“ちゃんとしている人”
NEWSポストセブン
小室佳代さんの自伝エッセイに頭を抱える秋篠宮ご夫妻(撮影/JMPA)
《小室佳代さんが自伝エッセイを発売》“暴露”があっても出版を中断させることは不可能、秋篠宮家は静観するのみ 眞子さんが“GO”を出した大きな意味
女性セブン
人質になっているリリーさん(欧州ユダヤ人会議のXより)
《性暴力と隣り合わせ》ハマスに監禁され続けている19歳女性…父親「中絶に間に合わない」と望まない妊娠を危惧 停戦合意で解放へ
NEWSポストセブン