国内

ワクチン接種をめぐる高齢者と若者の分断 国や自治体が助長する構図に

ワクチンを打てと言われても……(イメージ、AFP=時事)

ワクチンを打てと言われても……(イメージ、AFP=時事)

 何か問題が起きたとき、解決のために問題に向き合うことよりも、誰かのせい、何かのせいだと単一の原因を決めてしまうのは、責任を取りたくない人たちがよくやる行動だ。新型コロナウイルス感染症をめぐる日本のリーダーたちの発言には、そういった傾向がありはしないか。俳人で著作家の日野百草氏が、この感染拡大をさせている原因だと名指しされる30代以下、若者たちの不満と現状を聞いた。

 * * *
「おっしゃる通り、ついに私たちのせいになりましたね」

 緊急事態宣言で休会中の区民講座、筆者の教える30代の女性がマスク越しに怒っている。彼女はワクチンの接種をまだ受けていない。住まいは品川区、もちろん受けたいのに受けられないのだ。

「打ちたくても打てないのに打てって、わけがわかりません」

 憤懣やるかたない様子でタピオカ抹茶ミルクを極太ストローの先でかき回す彼女、ちゃんと飲むたびにマスクを外してはつける彼女は真面目だ。他の客など大半は席に座った途端にマスクは外している。だがこの暑さ、大井町駅周辺も30度はゆうに超えている。そんな炎天下から逃れてファミレス入りしたら外したくなるのも仕方のない話、しかし彼女はしっかりマスクをして話す。

「接種券が届いたのって7月ですよ? それで打ってない、打てってあの女、ひどくないですか?」

 あの女とは小池百合子東京都知事のことだろう。「ワクチンも、ぜひ若い方も打っていただきたい」「若い方々の行動パターンが、あの、鍵を握っていますので」(筆者の聞き取りママ)と7月28日(!)に述べた。

「そんなのどうすればいいんですか? 予約再開(筆者注:品川区)は7月30日ですよ! いくらなんでもひどい」

 気持ちはわかる。公平を期すために書いておくが、小池都知事より先に若者がワクチンを打てないのに若者が打たない、打てと芸能人を使ったパフォーマンスを続けたのは河野太郎ワクチン担当大臣である。まあ、政府の方針自体がそうなのだろうし、「とりあえず若者のせいにしておくか」は共通なのだろう。若者の大半が打てないのは事実なのに。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン