2020年5月、閑散とした週末の歌舞伎町。この頃は、コロナ対策として皆が辛抱していた(時事通信フォト)
「品川区はワクチン量が少ないからって予約できないんです(筆者注:8月4日時点)。30日のその日にまた予約中止です。ネットも繋がりにくかったし、これでワクチンを打ってない若者が悪いってないですよ」
これは品川区に限った話ではなく全国、とくに大規模な自治体ほど若者のワクチンの接種が遅れている。彼女の住む品川区を例にするが8月3日の時点で12~64歳の1回目の接種が20.9%、2回目の接種が7.4%となっている。こんな状態で先の発言「ワクチンも、ぜひ若い方も打っていただきたい」などと言われたってどうすることもできない。
遅れているのは仕方ない。いまの日本はそんなもの
ワクチン接種に関する国の年齢定義は幅広いのだが、日本国内の65歳未満の接種は7月19日の時点でわずか13.6%(7月15日報告分・厚生労働省)という惨憺たる状況である。8月に入って多少の改善はあるのだろうが30代、40代すら遅れている状況で10代20代など年内に打ってもらえるかどうか。
「遅れているのは仕方ないです。昔と違っていまの日本はそんなものです。でもその状態でコロナを撒き散らしてるのは、新規感染者が増え続けているのは若者のせい、打たないせいって悪者にするのはありえないです」
日本なんてそんなもの、か。すっかり「優秀な日本」は昔話になってしまった。
「若者のせいにして、責任をなすりつけて、ほんと言う通りになりました」
筆者は昨年からずっとルポのたびに書き続けた。ライブハウス、パチンコ、夜の仕事、旅行業界、居酒屋と常に誰かをコロナの悪人にして、為政者どもは自分たちの無策をごまかし続けた。コロナは日本ではなく中華人民共和国が撒き散らしたもの(これはとても素朴な事実で大事な話なのだが、なぜかスルーされる)なので日本のせいではないが、その後の一般国民に対する対処は最悪だ。そうして今度は、若者を悪者に仕立てようとしている。
「みんな我慢してきたはずです。10代の子だって我慢した。それなのにあんまりです」
日本の多くの一般国民はよく耐えてきたと思う。諸外国に比べてもその自己規律は高く日本は落ちぶれても日本の若者は優秀だ。現役世代の大半はワクチンを打ってもらえなくとも仕事に励み、学校では我慢、人生や生活を犠牲にして協力してきた。
「去年なんかみんな従ったじゃないですか。子どもたち、立派だったと思います」
それなのに、ついに国は、自治体は「若者のせい」にし始めた。これは本当に怒るべきだ。なぜなら、大半の若者はワクチンを打ってもらえないのに打ってないと言われているのだから。