2021年4月25日、名古屋市長選挙で当選確実となり、万歳する現職の河村たかし氏(時事通信フォト)
筆者は別の機会に同じ地域の40代女性に話を聞くことができた。フェイスブック繋がりでもあるが、彼女もまた、こうしたおっさんの被害者だった。
「ある70代男性の話ですが、私の子どもを勝手に抱いて、顔中にキスしてきたんです。まだ赤ちゃんとはいえ気持ちのいいものではありません。地元で生まれた子どもは我が子同然と言われても、虫歯だって伝染るかもしれないし」
この話、悲しいかな筆者周辺にも複数の被害者がいた。勝手に抱いてチューをする。筆者も野田で幼少期はいきなり見知らぬおっさんにチューとかされて「かわいがられてよかったね」などと言われたものだが昭和の話、ましてこのコロナ禍、洒落にならない。ある意味、河村市長の身勝手な言い分「最大の愛情表現だった」という弁解と根っこは同じだろうか。
「ぶちゅぶちゅする義父とか嫌ですよ、やめてくれというのに聞かないんです」
これまた別の女性、彼女は書いても構わないというので書くが彼女の夫の実家は茨城県西部、田舎だが山奥と言うほどではない。しかし昔ながらの土着のおっさんは社会規範のアップデートができていないし、年齢的にする気もないだろう。叱る人もいないから、ある意味こうしたおっさんも無敵の人だ。誰にも従う必要のなくなった無敵の年金おっさんの一部が近所で、家庭で暴君のように振る舞って身近な人を困らせている。
あのような男性は権威に弱いし相手を見てペコペコする
個々のおっさんの話ともかく、このオリンピックでは森喜朗を筆頭におっさんのやらかしばかりが目立った。彼らが選んだ連中もまたやらかしてはオリンピック開幕前に消えていった。そうしてついに、そのおっさんの列に河村市長も加わった。その辺のおっさんでも迷惑なのに公職、要職の方々ばかり。理不尽に女性を誹謗したり、太っているからと女性タレントをブタに仕立てようとしたり、表敬訪問のメダリストをぞんざいな扱いでウケ狙い――もはやこんなおっさんたち、退場願うしかないのではないか。まして困ったことに先の市井のおっさんたちと違い、彼らは年金者ではなく現役である。
「でもね、あのような男性は権威に弱いし相手を見ます。ペコペコします。老人ホームの中でだってそうですよ。男性は施設内でも昔自慢のマウント合戦ですから」
懇意にしている福祉施設の女性談。なるほど、「ごめんなさい」と高をくくったような謝罪のはずが後藤選手の所属先であるトヨタ自動車に抗議された途端に平伏なのだからそうかもしれない。大トヨタに怒られればコメツキバッタのように謝罪する。どこまでもマウントでしかものを考えられない生き物が、一部の旧人類たるおっさんである。