東京五輪ソフトボール日本代表選手の金メダルをかじったことについて、謝罪文を読み上げる河村たかし名古屋市長(時事通信フォト)

東京五輪ソフトボール日本代表選手の金メダルをかじったことについて、謝罪文を読み上げる河村たかし名古屋市長(時事通信フォト)

「市長に失礼だよ、彼は市長なんだよ」

 こういう人、フィクションならどれだけ救われるか。令和になってもこの手のおっさんは日本各地に実在する。恥ずかしい話、筆者も千葉県の野田市に生まれたからよくわかる。故郷の恥を晒すのもアレだが、野田市を擁する東葛地域のおっさんもこんな感じだった。パワハラモラハラあたりまえ、女は誰であろうと全員下で年下は従うもので子ども(とくに他人の子)に人権なんてない、この世代は大なり小なりそんなカルチャーのおっさんである。戦争はほとんど経験せず、高度成長とバブルを謳歌してほぼ逃げ切った世代でもある。

「なんでって、こっちが聞きたいよ、なにが悪いの?」

 筆者は冷静に「どうしてそう思うのか」を聞いてみたが具体的な言葉は聞けなかった。重ねて断っておくが、おっさん全員がこんな人、まして河村市長レベルでないのは当然である。しかし、大半のおっさんが時代に順応することなく地域に、家庭に君臨している。このでっかい版が河村市長だろうか、彼も大学を出て河村商事という古紙回収業を継いでそのまま議員となった。政治的には世襲ではないが、出自は父親から自営を継いだおっさんで、ガキ大将のように田舎長男坊として生きてきた人だ。

「汚れたとかひどいね、口に入れただけじゃないか」

 素朴に「自分の大事なものを他人に汚されたら嫌じゃないですか」と試してみたが全否定された。市長は偉いので、口に入れて汚しても構わないということで、偉いか偉くないか、メダリストかそうでないかはともかく、全力を尽くしたアスリートのほうが尊いと思う筆者とはまったく価値観が違うらしい。素朴にそれは「悪いこと」だと思うのだが。

「まあ若いんだよ」

 そしてこのドヤ顔である。年齢マウントもおっさんの特徴である。この年齢マウントもまた謎で、大谷翔平選手に会っても面と向かって「キミはまだまだだな、私など経営者として……」などと本気で言いそうだ。張本勲のつもりだろうか。彼もオリンピック期間中、女子ボクシングフェザー級金メダリスト入江聖奈選手に対して「こんな競技好きな人がいるんだ」とテレビで放言し物議を醸した。こうしたおっさんの特徴は、年下や女性とみると誰であろうが一切リスペクトしない点にある。まるで動物のように本能的なマウントをかましてくる。金メダリストであろうとも、年下の女は自分より下で、大事なものをぞんざいに扱っても構わない、競技を貶めても構わない、むしろウケると思っている。

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