本来求められるのは「指揮官として勝てるかどうか」
“稲葉ジャパン”“小久保ジャパン”など日本では監督の名前が全面的に出てくるが、プレーするのはあくまで選手。指揮官に“さわやかさ”は必要なのか。
「後任として名前の挙がっている前巨人監督の高橋由伸氏、日本ハムの栗山英樹監督、前広島監督の緒方孝市氏もこの部類に入るのかもしれません。しかし、本来は『指揮官として勝てるかどうか』という1点以外に選考理由はないはず。高橋氏はチームの過渡期だったとはいえ、優勝できなかった。緒方氏は2016年からリーグ3連覇は果たしたが、日本シリーズでは2度敗れ、2017年はクライマックスシリーズでDeNAに敗れている。短期決戦でもシーズンと同じ起用にこだわって、負けてしまった」
国際大会は短期決戦。世間の注目度も高く、プレッシャーも大きい。2004年のアテネ五輪前には長嶋茂雄監督が脳梗塞で倒れ、2006年のWBCで優勝した王貞治監督は帰国後に胃がんが見つかった。2009年にWBC2連覇を果たした後、イチローが胃潰瘍になり、メジャーリーグの開幕に間に合わなかった。
「2013年のWBCでは、当時ソフトバンクの秋山幸二監督が推されていましたが、本人が断っています。この職務は誰がやっても批判されるし、相当な激務になる。そのため、短期決戦の強さに加えて、何を言われてもブレない、動じない人が理想的です。現役監督から選べるのであれば、6年で5度の日本一に輝いているソフトバンクの工藤公康監督、2009年にWBCを制覇した巨人の原辰徳監督がいいのでしょうけど、兼務は厳しい。
元中日の落合博満氏が就任したら面白そうです。2007年の日本シリーズで完全試合目前の山井大介から岩瀬仁紀に継投したように、波紋を呼ぶとわかっていながら信念を貫き通せる肝の座り方は魅力的です。ただ、今までの選考理由の“さわやかさ”とはかけ離れている。