イギリス王室史上最大のスキャンダルがアメリカの連邦裁判所で審理されることになった。18年前にエリザベス女王の三男であるアンドルー王子(61=ヨーク公爵)に3回にわたりレイプされたと主張するアメリカ人女性、バージニア・ジェフリーさん(38=現在は結婚してロバーツ)がニューヨーク南部地区連邦地裁に王子を提訴したのだ。
女王の長男であるチャールズ皇太子はカミラ夫人(コーンウォール公爵夫人)とのダブル不倫関係で世間を騒がし、アンドルー王子もセラ王女と別居・離婚と、王子たちは女性関係でトラブルが尽きない。95歳の女王にとっては悩ましい限りだろう。
そんなスキャンダルに慣れっこの英王室とはいえ、今度の一件はマズい。王室としてレイプ容疑で訴えられるのは初めてのことで、英タブロイド紙には王子の写真の上にスタンプを押したように「Shame(恥さらし)」の文字が躍った。
発端は、実業家で少女売春組織を運営していたジェフリー・エプスタイン被告(2019年、勾留中に「自殺」)が少女暴行、人身売買で有罪判決を受けた際に捜査当局が入手した交友関係リストにドナルド・トランプ前大統領やビル・クリントン元大統領とともにアンドルー王子の名前が出てきたこと。そのことはすでに世界中で報じられている。エプスタイン氏の「裏稼業」は未成年を含む若い女性をセレブに「紹介」する売春業で、彼女らを餌に欧米のセレブと交友関係を築き、政財界に隠然たる力を持っていた。
エプスタイン氏とアンドルー王子は極めて親しい関係で、王子が訪米した際にはエプスタイン氏がニューヨークの豪邸に招いて歓待していた。ジェフリーさんは、トランプ前大統領が所有するフロリダの「マー・ア・ラゴ・クラブ」で働いていたところをエプスタイン氏にスカウトされたという。
実は彼女は2年前、すでにアンドルー王子との関係を告白していたが、王子はBBCのインタビューで、「そんな女性は見たことも会ったこともない」と全面否定していた。その後も完全無視され、ついに堪忍袋の緒が切れた彼女は、「王侯貴族が法を破っても罰せられない。泣き寝入りしている多くの女性のためにも王子の責任を追及する」と提訴に踏み切ったというわけだ。提訴に際しては、「会ったこともない」という王子の証言を覆すツーショットをメディアに公開した。
訴状によると、ジェフリーさんは2001年、ロンドンの「クラブ・トランプ」のVIPルームでアンドルー王子と初対面。そのあと、エプスタイン氏の愛人宅でレイプされたという。彼女は当時17歳の未成年者だった。その後、英国際貿易担当特使として訪米した王子に、今度はエプスタイン邸でレイプされたとしている。3回目は、カリブ海に浮かぶ米領バージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島のエプスタイン別邸で犯されたという。